T790M変異陽性肺癌患者に対するAZD9291は高い腫瘍活性をもたらす
2015年 05月 02日
NEJMからの報告です。
Pasi A. Jänne, et al.
AZD9291 in EGFR Inhibitor–Resistant Non–Small-Cell Lung Cancer
N Engl J Med 2015; 372:1689-1699
背景:
EGFR遺伝子変異がみられる肺癌(EGFR変異陽性肺癌)の患者において、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)に対する耐性獲得機序としてもっとも多いのはEGFR T790M変異とされている。臨床前モデルにおいて、EGFR-TKIであるAZD9291は、EGFR-TKI活性化変異とT790M耐性変異の双方に有効であることわかっている。
方法:
EGFR-TKIによる治療後に画像検査で病勢進行が確認された進行肺癌患者を対象とした。AZD9291を 20→240mgの5段階の用量で1日1回投与した。用量漸増(dose-escalation )コホートと用量拡大(dose-expansion )コホートを設定した。拡大コホートの患者は、EGFR T790Mの有無を判定するため腫瘍生検を要した。安全性、薬物動態、有効性について評価した。
結果:
全体で253人に治療を行った。用量漸増コホートに登録された31人では、評価用量に用量制限毒性は観察されなかった。別の222例を5段階の用量拡大コホートに割り付けて治療を導入した。有害事象で頻度が高かったのは、下痢、発疹、悪心、食欲減退であった。客観的腫瘍縮小効果がみられた頻度は 51%(95%信頼区間45~58)であった。
EGFR T790Mが陽性であった患者のうち、評価ができた127人の奏効率は61%(95%信頼区間52~70)であった。EGFR T790Mが陰性であった患者のうち、評価ができた61人の奏効率は21%(95%信頼区間12~34)であった。無増悪生存期間中央値は、EGFR T790M陽性患者で9.6ヶ月(95%信頼区間8.3~未到達)、EGFR T790M陰性患者で2.8ヶ月(95%信頼区間2.1~4.3)であった。
結論:
EGFR-TKIによる増悪をきたしたEGFR T790M変異陽性肺癌患者に対するAZD9291は高い腫瘍活性をもたらした。
Pasi A. Jänne, et al.
AZD9291 in EGFR Inhibitor–Resistant Non–Small-Cell Lung Cancer
N Engl J Med 2015; 372:1689-1699
背景:
EGFR遺伝子変異がみられる肺癌(EGFR変異陽性肺癌)の患者において、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)に対する耐性獲得機序としてもっとも多いのはEGFR T790M変異とされている。臨床前モデルにおいて、EGFR-TKIであるAZD9291は、EGFR-TKI活性化変異とT790M耐性変異の双方に有効であることわかっている。
方法:
EGFR-TKIによる治療後に画像検査で病勢進行が確認された進行肺癌患者を対象とした。AZD9291を 20→240mgの5段階の用量で1日1回投与した。用量漸増(dose-escalation )コホートと用量拡大(dose-expansion )コホートを設定した。拡大コホートの患者は、EGFR T790Mの有無を判定するため腫瘍生検を要した。安全性、薬物動態、有効性について評価した。
結果:
全体で253人に治療を行った。用量漸増コホートに登録された31人では、評価用量に用量制限毒性は観察されなかった。別の222例を5段階の用量拡大コホートに割り付けて治療を導入した。有害事象で頻度が高かったのは、下痢、発疹、悪心、食欲減退であった。客観的腫瘍縮小効果がみられた頻度は 51%(95%信頼区間45~58)であった。
EGFR T790Mが陽性であった患者のうち、評価ができた127人の奏効率は61%(95%信頼区間52~70)であった。EGFR T790Mが陰性であった患者のうち、評価ができた61人の奏効率は21%(95%信頼区間12~34)であった。無増悪生存期間中央値は、EGFR T790M陽性患者で9.6ヶ月(95%信頼区間8.3~未到達)、EGFR T790M陰性患者で2.8ヶ月(95%信頼区間2.1~4.3)であった。
結論:
EGFR-TKIによる増悪をきたしたEGFR T790M変異陽性肺癌患者に対するAZD9291は高い腫瘍活性をもたらした。
by otowelt
| 2015-05-02 00:50
| 肺癌・その他腫瘍