アメリカにおける早期気管切開を受けにくい因子

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Joshua J. Shaw, et al.
Who Gets Early Tracheostomy?: Evidence of Unequal Treatment at 185 Academic Medical Centers
Chest. 2015. doi:10.1378/chest.15-0576


背景:
 人工呼吸器を要する患者に対する早期の気管切開の利益はすでに判明しているが、挿管から気管切開までの期間に違いが出る理由についてはよく分かっていない。われわれは、気管切開までの期間の乖離について臨床的および社会的背景を同定した。

方法:
 アメリカの大学病院などが属するUniversity HealthSystem Consortiumの2007年~2010年のデータを用いて、成人で気管切開を受けた患者をレトロスペクティブに解析した。挿管から7日未満の早期気管切開群と、晩期気管切開群に分けて解析した。コホートは気管切開までの期間によって層別化し、単変量および多変量解析によって比較した。

結果:
 49191人の患者が気管切開を受けた。42%が早期(21029人)で58%が晩期(28162人)だった。単変量および多変量解析では、女性、黒人、ヒスパニック、メディケイド患者では早期の気管切開を受ける頻度が少なかった。早期気管切開は、死亡率の低下と関連していた(オッズ比0.84; 95%信頼区間0.79–0.88)。

結論:
 早期気管切開は生存に利益をもたらす。気管切開までの期間は、性別、人種、保険の種別によって乖離がみられた。エビデンスに基づく気管切開アルゴリズムが適用されることで、全体の死亡率を改善させることができるかもしれない。


by otowelt | 2015-09-15 00:15 | 集中治療

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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