HOT-ER試験:救急部におけるハイフロー酸素療法は通常酸素療法と比べて人工呼吸器使用を有意に減らさない
2015年 12月 04日

有意差はありませんが、ハイフロー酸素療法の方が人工呼吸器を回避できるかもしれません。
Jones PG, et al.
Randomized Controlled Trial of Humidified High-Flow Nasal Oxygen for Acute Respiratory Distress in the Emergency Department: The HOT-ER Study.
Respir Care. 2015 Nov 17. pii: respcare.04252. [Epub ahead of print]
背景:
ハイフロー酸素療法(Humidified high-flow nasal cannula :HFNC)は、通常の酸素療法では効果がみられない呼吸不全に対して救急部やICUにおいて有用性が高いとされている新しい酸素療法である。この研究の目的は、HFNCが通常の酸素療法と比較して急性呼吸不全患者の人工呼吸器装着の頻度を減らすことができるかどうか調べることである。
方法:
これは、救急部において低酸素血症に陥った成人呼吸不全患者のランダム化比較試験である。プライマリアウトカムは、救急部における人工呼吸器の装着とした。
結果:
1287人の患者をスクリーニングしたところ、322人が適格基準を満たした。そのうち19人は解析から除外された。残りの患者のうち、165人がHFNCに、138人通常の酸素療法にランダムに割り付けられた。ベースラインの患者背景は同等であった。HFNC群では、3.6%(95%信頼区間1.5-7.9%)の患者が救急部において人工呼吸器装着を余儀なくされた(vs. 通常酸素療法群7.2% 、P = .16)。入院後24時間以内に広げると、HFNC群5.5%(95%信頼区間2.8-10.2%)、通常酸素療法群11.6%(95%信頼区間7.2-18.1%)であった(P = .053)。死亡率や在院日数には有意差はみられなかった。有害事象は総じてまれであったが、HFNC群のほうが通常酸素療法群よりもCO2貯留によるGCSスコアの低下(悪化)が少なかった(0% vs. 2%)。
結論:
救急部において、HFNCは通常の酸素療法と比べて統計学的に有意な人工呼吸器回避効果をもたらすわけではなかった。
by otowelt
| 2015-12-04 00:24
| 救急