SPIROMICSコホート:COPD患者は受動喫煙によって様々なアウトカムが悪化する

SPIROMICSコホート:COPD患者は受動喫煙によって様々なアウトカムが悪化する_e0156318_8143039.jpg 能動喫煙+受動喫煙の合わせ技一本、といったところでしょうか。

Putcha N, et al.
Understanding the impact of second-hand smoke exposure on clinical outcomes in participants with COPD in the SPIROMICS cohort.
Thorax. 2016 Mar 9. pii: thoraxjnl-2015-207487.


背景:
 受動喫煙は呼吸器疾患の発症に関連している。われわれは、受動喫煙がCOPD患者の健康関連アウトカムに与える影響をより深く調べることとした。

方法:
 SPIROMICSコホートのCOPD患者のうち、直近の受動喫煙について定量評価した。(1)過去1週間の曝露時間、あるいは(2)喫煙者と生活しているか、である。

結果:
 COPD患者1580人のうち、20%が喫煙者と生活しており、27%が過去1週間に曝露を受けていたことがわかった。喫煙者と同居することでSGRQスコアの悪化(SGRQ, β 3.10; 95%信頼区間0.99 to 5.21), CATスコア(β 1.43; 95%信頼区間 0.52 to 2.35)、重度の急性増悪のリスク上昇(オッズ比1.51, 95%信頼区間1.04 to 2.17)と関連していた。過去1週間の受動喫煙の曝露は、SGRQの悪化(β 2.52; 95%信頼区間0.47 to 4.58), 夜間症状(オッズ比1.58; 95%信頼区間1.19 to 2.10), 喘鳴(オッズ比1.34; 95%信頼区間1.02 to 1.77), 慢性湿性咳嗽(オッズ比1.77; 95%信頼区間1.33 to 2.35)、咳嗽喀痰困難(Ease of Cough and Sputum scale, β 0.84; 95%信頼区間0.42 to 1.25)と関連していた。受動喫煙は胸部CT検査における気道壁の肥厚と関連していたが、気腫とは関連していなかった。現喫煙者、肥満のある患者、気流閉塞の度合いが軽度である患者は、受動喫煙に対する感受性が高かった。

結論:
 現喫煙者を含むCOPD患者では、受動喫煙が多く、それは様々なアウトカム悪化や気道壁肥厚と関連していた。現喫煙者と肥満患者は受動喫煙に関連したアウトカムを悪化させるかもしれない。


by otowelt | 2016-04-01 00:37 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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