ROMANA試験:アナモレリンは進行非小細胞肺癌患者の悪液質に有効

ROMANA試験:アナモレリンは進行非小細胞肺癌患者の悪液質に有効_e0156318_8124310.jpg 70人あまりの解析で既にアナモレリンの有効性は同雑誌から報告されています(Lancet Oncol. 2015 Jan;16(1):108-16. )。

Temel JS, et al.
Anamorelin in patients with non-small-cell lung cancer and cachexia (ROMANA 1 and ROMANA 2): results from two randomised, double-blind, phase 3 trials.
Lancet Oncol. 2016 Feb 19. pii: S1470-2045(15)00558-6.


背景:
 進行癌患者はしばしば食思不振と悪液質を経験する。それにより食事摂取が減少し、生体成分に変調をきたし、機能低下を招く。われわれは、新しいグレリン受容体アゴニストであるアナモレリンが進行非小細胞肺癌患者の悪液質に対して効果があるかどうか調べた。

方法:
 ROMANA1試験およびROMANA2試験は、ランダム化二重盲検プラセボ対照第3相試験で、19か国93施設から登録された。手術不能病期IIIあるいはIVの非小細胞肺癌患者で、悪液質(6か月以内に5%以上の体重減少あるいはBMI20未満)を有するものをランダムに2:1にアナモレリン100mg1日1回あるいはプラセボに割り付けた。複合プライマリ効果エンドポイントは、12週におよぶ除脂肪体重および握力の変化の中央値とした(ITT)。

結果:
 2011年7月8日から2014年7月28日までの間、484人の患者がROMANA1試験(323人がアナモレリン群、161人がプラセボ群)に、2011年7月14日から2013年10月31日までの間、495人がROMANA2試験(330人がアナモレリン群、165人がプラセボ群)に登録された。12週におよぶ観察期間において、除脂肪体重はアナモレリン群の方がプラセボ群よりも有意に多かった(ROMANA1試験:増加中央値0.99 kg [95%信頼区間0.61 to 1.36] vs -0.47 kg [95%信頼区間-1.00 to 0.21], p<0.0001、ROMANA2試験:0.65 kg [95%信頼区間0.38 to 0.91] vs -0.98 kg [95%信頼区間-1.49 to -0.41], p<0.0001)。握力については有意差はみられなかった(ROMANA1試験:-1.10 kg [95%信頼区間-1.69 to -0.40] vs -1.58 kg [95%信頼区間-2.99 to -1.14], p=0.15、ROMANA2試験:-1.49 kg [95%信頼区間-2.06 to -0.58] vs -0.95 kg [95%信頼区間-1.56 to 0.04], p=0.65)。グレード3-4の治療関連有害事象については両群で有意差はなかった。もっともよくみられたグレード3-4の有害事象は高血糖であり、ROMANA1試験のアナモレリン群320人中1人(<1%)、ROMANA2試験のアナモレリン群330人中4人(1%)に観察された。

結論:
 アナモレリンは悪液質にある進行期非小細胞肺癌患者に対して除脂肪体重の有意な増加をもたらすが、握力の増加はもたらさない。悪液質に対する安全で効果的なアンメットニーズの治療薬を考慮した場合、アナモレリンは治療オプションとなりうるかもしれない。


by otowelt | 2016-03-25 00:17 | 肺癌・その他腫瘍

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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