PANORAMA試験:ピルフェニドンにアセチルシステインを加えても忍容性に問題はないが肺機能は低下する

PANORAMA試験:ピルフェニドンにアセチルシステインを加えても忍容性に問題はないが肺機能は低下する_e0156318_7331272.jpg さすがに、IPFに対する経口アセチルシステインはそろそろ姿を消しそうですね。吸入N-アセチルシステインはまだ希望の光があるかもしれませんが・・・。

Jürgen Behr, et al.
Safety and tolerability of acetylcysteine and pirfenidone combination therapy in idiopathic pulmonary fibrosis: a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 2 trial
Lancet Respiratory Medicine, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S2213-2600(16)30044-3

背景:
 経口アセチルシステイン(NACとしても知られる)は、ピルフェニドンとともに特発性肺線維症(IPF)に対してヨーロッパで用いられている。しかしながら、この併用について安全性と忍容性を調べたランダム化比較試験はない。そこで、PANORAMA試験によってこれを調べることとした。効果エンドポイントについても同時に調べた。

方法:
 8ヶ国48施設において二重盲検ランダム化比較試験を実施した。40-80歳のIPF患者でピルフェニドンを最低でも1602mg/日・8週間以上内服している者をランダムに1:1に経口アセチルシステイン(600mg1日3回)あるいはプラセボに24週間割り付けた。ランダム化はピルフェニドンの用量によって層別化された(2403mg/日[最大用量]あるいは2403mg/日未満)。患者、主治医、研究スタッフ、スポンサーは患者がどちらの治療を受けているか盲検化された。プライマリエンドポイントは有害事象とした。効果については努力性肺活量(FVC)、DLCO、6分間歩行距離とした。

結果:
 2013年6月28日から2015年2月24日までの間に123人が試験に参加した。61人がアセチルシステイン群、62人がプラセボ群に割り付けられた。少なくとも1回の有害事象を経験したのはアセチルシステイン群46人(77%)、プラセボ群50人(81%)だった。重篤な有害事象は、それぞれの群で3人(5%)、2人(3%)だった。死亡したのはそれぞれの群で1人(2%)、3人(5%)だった。いずれのアウトカムも両群同等であった。1例の重篤な下痢はアセチルシステインに関連したものと考えられた。もっともよくみられた有害事象は、咳嗽、鼻咽頭炎、下痢だった。光線過敏症はアセチルシステイン群の方が多くみられた(8人[13%] vs 1人[2%]、差11.7%; 95%信頼区間2.6–20.9; p=0.016)。有害事象のために試験薬を中止したのは、アセチルシステイン群4人(7%)、プラセボ群3人(5%)だった。効果解析では、FVCはピルフェニドンにアセチルシステインを加えても変化せず、むしろIPF患者には有害である可能性すら指摘された(FVC補正減少125.6mL/6ヶ月 vs 34.3/6ヶ月、差−91.3 mL; 95%信頼区間−174.4 to −8.3; p=0.031)。

結論:
 PANORAMA試験において、ピルフェニドンにアセチルシステインを加えてもピルフェニドンの忍容性プロファイルに影響はないが、IPFには利益がないものと考えられる。


by otowelt | 2016-05-23 00:14 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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