KEYNOTE-024試験:PD-L1高発現の進行NSCLCに対してキイトルーダ®は標準化学療法より生存期間延長
2016年 10月 15日
論文化されました。肺癌の治療を変える歴史的報告です。事前にクロスオーバーが認められているにもかかわらず、全生存期間に明らかな差がみられています。
Martin Reck, et al.
Pembrolizumab versus Chemotherapy for PD-L1–Positive Non–Small-Cell Lung Cancer.
N Engl J Med. October 9, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1606774
背景:
ペムブロリズマブは進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対する抗腫瘍活性を有するト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体であり、とりわけPD-L1を発現している腫瘍に活性が高い。
方法:
オープンラベル第III相ランダム化比較試験において、少なくとも腫瘍細胞にPD-L1が50%以上発現しているEGFR遺伝子変異あるいはALK遺伝子転座のない、102施設305人の未治療進行NSCLC患者が登録された(D-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイ[Dako North America社]を使用)。
なお、本研究でPD-L1を解析された1653人のうち、PD-L1発現が50%を超えていたのは500人(30.2%)だった。 (スクリーニング登録:Fig. S1 in the Supplementary Appendixより引用改変)
患者は、ペムブロリズマブ(固定量200mg3週ごと)あるいは医師選択のプラチナベース化学療法のいずれかを受けた(パクリタキセル+カルボプラチン、ペメトレキセド+カルボプラチン、ペメトレキセド+シスプラチン、ゲムシタビン+カルボプラチン、ゲムシタビン+シスプラチンのいずれか)。投与は35サイクルまでか増悪が認められるまで行われた。病勢進行時、化学療法群からペムブロリズマブ群へのクロスオーバーを容認した。
プライマリエンドポイントは無増悪生存期間(PFS)とした。セカンダリエンドポイントに全生存期間(OS)、客観的奏効率、安全性を設定した。
結果:
PFS中央値はペムブロリズマブ群10.3ヶ月(95%信頼区間6.7-未到達)、化学療法群6.0ヶ月(95%信頼区間4.2-6.2)だった(病勢進行あるいは死亡に対するハザード比0.50、95%信頼区間0.37-0.68; P<0.001)。 (PFS:文献より引用改変)
6ヶ月時の全生存はペムブロリズマブ群80.2%、化学療法群72.4%だった(死亡に対するハザード比0.60、95%信頼区間0.41-0.89; P=0.005)。 (OS:文献より引用改変)
奏効率はペムブロリズマブ群の方が化学療法群よりも高かった(44.8% vs. 27.8%)。また奏効期間中央値もペムブロリズマブ群の方が長かった(未到達[1.9~14.5ヶ月] vs. 6.3ヶ月[2.1~12.6ヶ月])。治療関連有害事象についてもどのグレードもペムブロリズマブ群の方が頻度が低かった(73.4% vs. 90.0%、グレード3-5は26.6% vs. 53.3%)。
結論:
進行NSCLCでPD-L1発現が腫瘍細胞に少なくとも50%みられる患者に対して、ペムブロリズマブは化学療法と比較してPFSおよびOSが有意に延長し、有害事象も少なかった。
Discussion:
・PD-L1高発現について
今回の研究で観察されたPD-L1発現50%以上の頻度が30.2%という結果は、過去のKEYNOTE-001試験(24.9%)(Lancet 2016; 387: 1540-50.)、KEYNOTE-010試験(28%)(N Engl J Med 2015;372: 2018-28)と同程度のものである。現在進行している第III相試験であるKEYNOTE-042試験においてPD-L1発現1%以上の患者群における化学療法の有益性が明らかになるかもしれない。
Martin Reck, et al.
Pembrolizumab versus Chemotherapy for PD-L1–Positive Non–Small-Cell Lung Cancer.
N Engl J Med. October 9, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1606774
背景:
ペムブロリズマブは進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対する抗腫瘍活性を有するト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体であり、とりわけPD-L1を発現している腫瘍に活性が高い。
方法:
オープンラベル第III相ランダム化比較試験において、少なくとも腫瘍細胞にPD-L1が50%以上発現しているEGFR遺伝子変異あるいはALK遺伝子転座のない、102施設305人の未治療進行NSCLC患者が登録された(D-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイ[Dako North America社]を使用)。
なお、本研究でPD-L1を解析された1653人のうち、PD-L1発現が50%を超えていたのは500人(30.2%)だった。
患者は、ペムブロリズマブ(固定量200mg3週ごと)あるいは医師選択のプラチナベース化学療法のいずれかを受けた(パクリタキセル+カルボプラチン、ペメトレキセド+カルボプラチン、ペメトレキセド+シスプラチン、ゲムシタビン+カルボプラチン、ゲムシタビン+シスプラチンのいずれか)。投与は35サイクルまでか増悪が認められるまで行われた。病勢進行時、化学療法群からペムブロリズマブ群へのクロスオーバーを容認した。
プライマリエンドポイントは無増悪生存期間(PFS)とした。セカンダリエンドポイントに全生存期間(OS)、客観的奏効率、安全性を設定した。
結果:
PFS中央値はペムブロリズマブ群10.3ヶ月(95%信頼区間6.7-未到達)、化学療法群6.0ヶ月(95%信頼区間4.2-6.2)だった(病勢進行あるいは死亡に対するハザード比0.50、95%信頼区間0.37-0.68; P<0.001)。
6ヶ月時の全生存はペムブロリズマブ群80.2%、化学療法群72.4%だった(死亡に対するハザード比0.60、95%信頼区間0.41-0.89; P=0.005)。
奏効率はペムブロリズマブ群の方が化学療法群よりも高かった(44.8% vs. 27.8%)。また奏効期間中央値もペムブロリズマブ群の方が長かった(未到達[1.9~14.5ヶ月] vs. 6.3ヶ月[2.1~12.6ヶ月])。治療関連有害事象についてもどのグレードもペムブロリズマブ群の方が頻度が低かった(73.4% vs. 90.0%、グレード3-5は26.6% vs. 53.3%)。
結論:
進行NSCLCでPD-L1発現が腫瘍細胞に少なくとも50%みられる患者に対して、ペムブロリズマブは化学療法と比較してPFSおよびOSが有意に延長し、有害事象も少なかった。
Discussion:
・PD-L1高発現について
今回の研究で観察されたPD-L1発現50%以上の頻度が30.2%という結果は、過去のKEYNOTE-001試験(24.9%)(Lancet 2016; 387: 1540-50.)、KEYNOTE-010試験(28%)(N Engl J Med 2015;372: 2018-28)と同程度のものである。現在進行している第III相試験であるKEYNOTE-042試験においてPD-L1発現1%以上の患者群における化学療法の有益性が明らかになるかもしれない。
by otowelt
| 2016-10-15 00:37
| 肺癌・その他腫瘍