喀痰好中球エラスターゼは気管支拡張症悪化のバイオマーカー
2016年 12月 13日
既知の知見です。
Chalmers JD, et al.
Neutrophil Elastase Activity is Associated with Exacerbations and Lung Function Decline in Bronchiectasis.
Am J Respir Crit Care Med. 2016 Dec 2. [Epub ahead of print]
背景:
喀痰好中球エラスターゼおよび血清デスモシンは、内因性エラスチン障害のマーカーであり、気管支拡張症における疾患重症度と進行にかかわるバイオマーカーとされている。この研究は、エラスターゼ活性とデスモシンが気管支拡張症の増悪や肺機能低下と関連しているかどうか調べたものである。
方法:
イギリスのダンディーにおける単施設前向きコホート(TAYBRIDGEレジストリ)を用いた。胸部HRCTで確定された433人の気管支拡張症の患者においてデスモシン測定のための血液検体採取をおこない、381人の気管支悪嘲笑の患者において喀痰エラスターゼ活性を測定した。被験者のバイオマーカーは3年にわたる疾患重症度、将来の増悪、死亡率、肺機能低下の指標として関連性が調べられた。
結果:
喀痰エラスターゼ活性は気管支拡張症重症度インデックス(r=0.49,p<0.0001)、MRC息切れスコア(r=0.34,p<0.0001), %1秒量(r=-0.33,p<0.0001)、画像上の気管支拡張症の拡がり(r=0.29,p<0.0001)と関連していた。
3年の経過で、喀痰エラスターゼ活性の上昇は増悪の頻度(p<0.0001)と関連していたが、死亡とは独立して関連していなかった。喀痰エラスターゼ活性は、1秒量減少の独立予測因子であった(β係数-0.139,p=0.001)。エラスターゼは、重症増悪や全死因死亡に高い鑑別能を有していた(AUC 0.75 [0.72-0.79]、AUC 0.70 [0.67-0.73])。増悪がみられた場合の喀痰中エラスターゼ活性は高く(p=0.001)、抗菌薬治療に反応がみられた。
デスモシンは喀痰エラスターゼと相関がみられた(r=0.34,p<0.0001)。また重度の増悪のリスクであったが(ハザード比2.7、95%信頼区間1.42-5.29,p=0.003)、肺機能の低下と関連していなかった。
結論:
喀痰好中球エラスターゼ活性は、成人気管支拡張症における疾患重症度および将来のリスクのバイオマーカーである。
Chalmers JD, et al.
Neutrophil Elastase Activity is Associated with Exacerbations and Lung Function Decline in Bronchiectasis.
Am J Respir Crit Care Med. 2016 Dec 2. [Epub ahead of print]
背景:
喀痰好中球エラスターゼおよび血清デスモシンは、内因性エラスチン障害のマーカーであり、気管支拡張症における疾患重症度と進行にかかわるバイオマーカーとされている。この研究は、エラスターゼ活性とデスモシンが気管支拡張症の増悪や肺機能低下と関連しているかどうか調べたものである。
方法:
イギリスのダンディーにおける単施設前向きコホート(TAYBRIDGEレジストリ)を用いた。胸部HRCTで確定された433人の気管支拡張症の患者においてデスモシン測定のための血液検体採取をおこない、381人の気管支悪嘲笑の患者において喀痰エラスターゼ活性を測定した。被験者のバイオマーカーは3年にわたる疾患重症度、将来の増悪、死亡率、肺機能低下の指標として関連性が調べられた。
結果:
喀痰エラスターゼ活性は気管支拡張症重症度インデックス(r=0.49,p<0.0001)、MRC息切れスコア(r=0.34,p<0.0001), %1秒量(r=-0.33,p<0.0001)、画像上の気管支拡張症の拡がり(r=0.29,p<0.0001)と関連していた。
3年の経過で、喀痰エラスターゼ活性の上昇は増悪の頻度(p<0.0001)と関連していたが、死亡とは独立して関連していなかった。喀痰エラスターゼ活性は、1秒量減少の独立予測因子であった(β係数-0.139,p=0.001)。エラスターゼは、重症増悪や全死因死亡に高い鑑別能を有していた(AUC 0.75 [0.72-0.79]、AUC 0.70 [0.67-0.73])。増悪がみられた場合の喀痰中エラスターゼ活性は高く(p=0.001)、抗菌薬治療に反応がみられた。
デスモシンは喀痰エラスターゼと相関がみられた(r=0.34,p<0.0001)。また重度の増悪のリスクであったが(ハザード比2.7、95%信頼区間1.42-5.29,p=0.003)、肺機能の低下と関連していなかった。
結論:
喀痰好中球エラスターゼ活性は、成人気管支拡張症における疾患重症度および将来のリスクのバイオマーカーである。
by otowelt
| 2016-12-13 00:07
| 呼吸器その他