GALA II研究・SAGE II研究:認識型人種差別と喘息の関連

GALA II研究・SAGE II研究:認識型人種差別と喘息の関連 _e0156318_9511160.jpg 言わずもがなの結果ですが、重要なことです。

Neeta Thaku, et al.
Perceived Discrimination Associated with Asthma and Related Outcomes in Minority Youth: The GALA II and SAGE II Studies
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.11.027


背景:
 喘息は不釣り合いに一部の集団に影響を与え、人種差別といった精神社会的ストレスと関連している。われわれは、喘息およびコントロール不良喘息を有するアフリカ系アメリカ人およびラテン系若年層における認識型差別(perceived discrimination)の影響について調べた。

方法:
 われわれがアフリカ系アメリカ人(954人)、メキシコ系アメリカ人(1086人)、他のラテン系アメリカ人(522人)、プエルトリコ・アイランダーズ(1025人)の若年者(8~21歳)をGALA II研究およびSAGE II研究から抽出した。喘息は主治医の診断で定義され、喘息コントロールはNHLBIガイドラインで定義された。認識型人種差別は差別経験に対するアンケートを学校、医療機関、公共の場で実施することで拾い上げた。われわれは、認識型差別と喘息アウトカムの関連を調べ、社会経済的ステータス(SES)と世界的にアフリカ人の祖先を持つことがこれらの関連に影響を与えるか調べた。

結果:
 差別経験のあるアフリカ系アメリカ人の小児は、そうした経験のない小児と比較して喘息のオッズ比を78%上昇させた(オッズ比1.78; 95%信頼区間1.33-2.39)。同様に、差別経験のあるアフリカ系アメリカ人の小児は、喘息コントロール不良と関連していた(オッズ比1.97; 95%信頼区間1.42-2.76)。
 これらの関連性はラテン系アメリカ人小児の間には観察されなかった。
 SESは、メキシコ系アメリカ人および他のラテン系アメリカ人において、喘息を有する若年層の間で認識型差別の影響を悪化させた。


結論:
 認識型差別はアフリカ系アメリカ人の若年層で喘息およびコントロール不良喘息のオッズ比を上昇させる。SESはメキシコ系アメリカ人および他のラテン系アメリカ人での喘息を有する若年層の間で認識型差別の影響を増加させた。
by otowelt | 2016-12-20 00:33 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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