貧血、CRP高値、酸素療法中のCOPD患者は入院後3ヶ月アウトカム不良

貧血、CRP高値、酸素療法中のCOPD患者は入院後3ヶ月アウトカム不良_e0156318_9415066.jpg CATスコアの平均がなかなか高い重症度分類B群をイメージした検討です。多変量解析に用いた因子がかなり多いです。

García-Rivero JL, et al.
Risk Factors of Poor Outcomes after Admission for a COPD Exacerbation: Multivariate Logistic Predictive Models.
COPD. 2016 Dec 16:1-6.


背景および方法:
 この研究の目的は、COPDの増悪によって入院した後の予後不良因子を多変量モデルで同定することである。われわれは、多施設共同観察前向き研究を実施した。COPDで入院した患者をその後3ヶ月追跡した。入院時に信頼性のある臨床的因子を選択した。各因子に対して、予後不良アウトカムを予測する最適なカットオフ値をROC曲線を用いて同定した。最終的にステップワイズロジスティック回帰モデルをおこなった。

結果:
 106人のCOPD患者が登録された(平均年齢71.1±9.8歳)。平均%1秒量は45.2%で、平均CATスコアは24.8±7.1点だった。3ヶ月時点で、39人(36.8%)がアウトカム不良と判断された(死亡2.8%、再入院20.8%、新たな増悪13.2%)。ロジスティックモデルに組み込まれた因子は以下の通り:過去の入院既往、%1秒量45%未満、Charlsonスコア3点以上、ヘモグロビン13g/dL未満、PaCO246mmHg以上、フィブリノゲン554g/L以上、CRP45mg/L以上、白血球数9810×109/L未満、膿性痰、長期酸素療法、入院時CATスコア31点以上。
 最終的なモデルでは、ヘモグロビン13g/dL未満(オッズ比2.46、95%信頼区間1.09-6.36)、CRP45mg/L以上(オッズ比2.91、95%信頼区間1.11-7.49)、長期酸素療法(オッズ比3.07, 95%信頼区間1.07-8.82)はアウトカム不良の頻度を上昇させた(82.4%)。CATスコア31点以上を加えると、91.6%まで上昇(AUC = 0.75; p = 0.001)。

結論:
 COPD患者の36.8%が退院後3ヶ月以内のアウトカムが不良で、ヘモグロビン低値、CRP高値がアウトカム不良のリスク因子であった。入院時CATスコア高値は適中率を上昇させた。
by otowelt | 2017-01-04 00:25 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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