メタアナリシス:閉塞性睡眠時無呼吸に対するCPAP療法と下顎前方維持装置(MAD)のQOLに対する有効性

メタアナリシス:閉塞性睡眠時無呼吸に対するCPAP療法と下顎前方維持装置(MAD)のQOLに対する有効性_e0156318_1118556.jpg どちらも結構眠りにくいと思われがちですが、OSAの患者さんには結構テキメンです。

Eric Kuhn, et al.
Effects of CPAP and MADs on health-related quality of life in OSA: a systematic review and meta-analysis
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.01.020


背景:
 未治療の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、治療によって軽減が見込まれる健康関連QOL障害と日中の傾眠と関連している。この報告の目的は、CPAP療法と下顎前方維持装置(MAD: mandibular advancement device)がOSAの健康関連QOLに与える影響を調べることである。

方法:
 MEDLINE、Cochrane Libraryデータベースを2015年11月まで検索した。健康関連QOLへの効果を調べるための、CPAP療法、MAD、コントロール治療を比較したランダム化比較試験を登録した。健康関連QOLはSF-36アウトカムを用いて解析されたものとした。試験特性、質、バイアスが3人の著者によって評価された。多変量ランダム効果メタ回帰を用いたネットワークメタアナリシスによって、SF-36スコアを構成する精神的側面、身体的側面への治療効果をアセスメントした。

結果:
 1491の研究が同定され、23のランダム化比較試験がメタアナリシスに組み込まれた(患者数2342人)。コントロール治療と比較して、CPAP療法は精神的側面に対して1.7点(95%信頼区間0.1-3.2, p=0.036)、身体的側面に対して1.7点(95%信頼区間0.5-2.9, p=0.005)の改善をもたらした。MADは精神的側面に対して2.4点(95%信頼区間0.0-4.9, p=0.053)、身体的側面に対して1.5点(95%信頼区間-0.2-3.2, p=0.076)の改善をもたらしたが、統計学的に有意ではなかった。SF-36スコアに対する治療効果にはCPAP療法とMADには有意差はみられなかった。

結論:
 CPAP療法は、OSAの健康関連QOLの改善に効果的である。MADもおそらく効果的であると思われるが、さらなるランダム化比較試験によってこれら2治療を比較することが望まれる。



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by otowelt | 2017-02-20 00:30 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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