ステロイドと抗TNF-α抗体製剤はIGRAパフォーマンスの悪化を招く

ステロイドと抗TNF-α抗体製剤はIGRAパフォーマンスの悪化を招く_e0156318_9552565.jpg 誰しもが一度は立ち止まる疑問。

Edwards A, et al.
Corticosteroids and infliximab impair the performance of interferon-γ release assays used for diagnosis of latent tuberculosis.
Thorax. 2017 Feb 3. pii: thoraxjnl-2016-209397. doi: 10.1136/thoraxjnl-2016-209397. [Epub ahead of print]


概要:
 過去にIGRA陽性である患者あるいは直近に結核患者への接触があった患者が登録された。元来免疫不全があったり糖尿病がある被験者は除外された。被験者はQFT-GIT(Gold In Tube)を採取された。
 採取した血液に試験薬を導入していく形式で当研究はすすめられた。標準アッセイとして、何も追加されないQFT-GIT、2つ目のアッセイとしてデキサメタゾン2 μg/mlを混注、3つ目のアッセイとして低用量インフリキシマブを想定して5 μg/mlを混注、また高用量を想定して100 μg/mlを混注。
 19人の成人(男性12人、女性7人、年齢中央値45歳)が登録された。登録前に抗結核薬の治療は誰にも導入されておらず、HIVは検査を拒否した3人以外全員陰性だった。
 QFT-GITが陽性だった10人のうち、3人がデキサメタゾンスピッツで陰性化した(7人は陽性のまま)。低用量インフリキシマブスピッツでは、2人がQFT-GIT陰性だった(8人陽性)。同様に高用量インフリキシマブスピッツでは2人が陰性だった(1人が判定不能、7人陽性)。
 抗原刺激インターフェロンγ、IL-2、TNF-α反応は有意に減弱していたが、IP-10反応は保持されていた。
 これらの結果から、ステロイドと抗TNF-α抗体製剤は有意にIGRAパフォーマンスを低下させると考えられる。



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by otowelt | 2017-02-28 00:06 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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