何となく研修医に伝えたいこと その13:患者さんは人生がかかっている
2017年 03月 15日

臨床実習(ポリクリ)や研修医の頃に、指導医の病状説明に同席させてもらうことがあるはずです。特に研修医は、そのノウハウを間近で吸収するチャンスでもあります。
私は医学生の頃、病状説明に何度か同席したことがあります。しかし、「今日は僕勉強が忙しいんだけどなあ、何分くらいかかるのかなあ」と病状説明に臨む患者さんに失礼なことを考えていたことがありました。
丁寧な病状説明が患者さんの薬になるという意味で、「ムンテラマイシン」という言葉もあります。今は死語らしいですが・・・、ううむ歳をとった。『イヤーノート』や『病気がみえる』にはたくさんの最新の治療法が書かれています。しかし何よりも重要なのは、患者さんが理解しやすいよう・咀嚼しやすいよう伝えることです。げんこつせんべいを「コレおいしいですよ」と手渡しても、噛めずに歯が折れてしまえば元も子もありません。
病状説明の重要性を実感するのは、医師免許をとった後です。特に独り立ちし始める後期研修医になると、誰しも己の能力不足を痛感するでしょう。
・自分が病気になったと思え
医学生や研修医を自分の患者さんの病状説明に同席させるとき、「自分が病気になったと思って参加してください」と言います。誰だって、自分の健康状態には神経質になります。がんの告知されたら頭が真っ白になってしまいますし、治療内容や将来のことを少しでも主治医から聞きたいと思うはずです。
「あなたたちのように医療現場に飛び込んだばかりの人たちは、第三者でも第二者でもなく、当事者になったつもりで病状説明を聞いて下さい。そうすれば、病気について何が知りたいのか、何が不安なのか、必ず分かるはずです。」
医学生や研修医にはそのように伝えています。
患者さんの人生のターニングポイントに立ち会うこと、それが病状説明を聞くということです。あなたがたの大学の文化祭の出し物よりも、医師国家試験の合格発表よりも、患者さんは重要な局面を迎えているのです。
「患者さんは人生がかかっている」と言うのは簡単です。それを当事者として実感しながら、臨床実習や研修に臨める医療人であって欲しいと心から願っています。
<何となく研修医に伝えたいこと>
・その1:夕方に指示を出すべからず
・その2:病棟ではあまりタメ口は使うべからず
・その3:患者さんの社会背景や退院後の生活を常に考えるべし
・その4:1日2回は患者さんに会いに行くべし
・その5:ポリファーマシーのクセをつけない
・その6:研修医時代は早めに出勤した方がよい
・その7:クリアカットになりすぎない
・その8:「●●も否定できない」は肯定の理由にはならない
・その9:処方する前に必ず添付文書をチェックするべし
・その10:医学書は衝動買いしない
・その11:他科へのコンサルテーションは目的を明確に
・その12:指導医をバカにしない
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by otowelt
| 2017-03-15 00:33
| コラム:研修医に伝えたいこと