ビデオ喉頭鏡による挿管が失敗しやすい因子

ビデオ喉頭鏡による挿管が失敗しやすい因子_e0156318_21563989.jpg ビデオ喉頭鏡に関する報告です。

Raj Joshi, et al.
Difficult Airway Characteristics Associated with First-Attempt Failure at Intubation Using Video Laryngoscopy in the Intensive Care Unit
Annals of the American Thoracic Society, DOI: http://dx.doi.org/10.1513/AnnalsATS.201606-472OC


背景:
 ビデオ喉頭鏡は、気管チューブ挿入時の視野確保のための喉頭展開で解剖学的な軸を定める必要性を克服した。しかしながら、この利点があるにもかかわらず、多くの患者で失敗している。重症患者における解剖学的な特性がビデオ喉頭鏡の失敗と関連しているというデータはない。

目的:
 ICUにおいてビデオ喉頭鏡を用いた挿管の初回失敗に関連する背景を同定すること。

方法:
 2012年1月から2016年1月までに単施設ICUにおいてビデオ喉頭鏡で挿管された連続患者906人を対象におこなわれた観察研究である。どの挿管でも、挿管困難気道特性、用いたデバイス、アウトカムなどを記録してもらった。多変量回帰モデルが用いられ、挿管の失敗に関連した挿管困難気道特性を同定した。

結果:
 性別、年齢、挿管理由、成功および失敗にいたった使用デバイスに有意差はみられなかった。成功例は、挿管困難気道特性がないことが多かった(23.9%; 95%信頼区間20.7–27.0% vs. 13.3%; 95%信頼区間8.0–18.8%)。906人のデータベースのロジスティック回帰分析において、気道の血液の存在(オッズ比2.63; 95%信頼区間1.64–4.20), 気道浮腫(オッズ比2.85; 95%信頼区間1.48–5.45), 肥満(オッズ比1.59; 95%信頼区間1.08–2.32)は有意に挿管失敗と関連していた。
 開口困難や分泌過多がみられた集団のサブセット解析において、気道の血液の存在(オッズ比2.73; 95%信頼区間1.60–4.64), 頚部可動制限(オッズ比3.34; 95%信頼区間1.28–8.72), 気道浮腫(オッズ比3.10; 95%信頼区間1.42–6.70)は挿管失敗と関連していた。

結論:
 この単施設研究では、ICUにおけるビデオ喉頭鏡による挿管時に、気道の血液の存在、気道浮腫、頚部可動制限、肥満がある場合、挿管失敗の高いオッズ比と関連していた。



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by otowelt | 2017-03-28 00:05 | 集中治療

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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