本の紹介:薬のデギュスタシオン2 製薬メーカーに頼らずに薬を勉強するために

 今月、『薬のデギュスタシオン2』が発売されます。前作に引き続き、私も少し執筆させていただきました。どうデギュってやろうかと考えながら書いたので、私も勉強になりました。貴重な機会を2回も授けてくださった岩田健太郎先生に心より感謝申し上げます。

本の紹介:薬のデギュスタシオン2 製薬メーカーに頼らずに薬を勉強するために_e0156318_10592243.jpg

発売日:2017年6月23日
単行本 : 416ページ
価格 : 4,000円 (税別)
出版社 : 金芳堂
編集 : 岩田 健太郎先生

本の紹介:薬のデギュスタシオン2 製薬メーカーに頼らずに薬を勉強するために_e0156318_13141310.jpg金芳堂紹介ページ

本の紹介:薬のデギュスタシオン2 製薬メーカーに頼らずに薬を勉強するために_e0156318_13141310.jpgAmazonから予約/購入する

 私はワインも日本酒もほとんど飲まない人間なので、デギュスタシオンという言葉は前作で初めて耳にしました。エヴァンゲリオンやアクエリオンを彷彿させるパワーワードだなと勝手に思っていましたが、今では「英語で言うところのテイスティングという意味だよ」としたり顔で説明できます。生まれてこのかた、テイスティングなんてしたこともないんですけどね。あはは。
 
 薬のデギュスタシオンがクセになることは、私たちにとって大きなメリットです。処方の際に「この病気にはこの薬だよな」という短絡的カスケードに一時停止ボタンが作られるからです。私は後期研修医以降、“とりあえず処方”が多かった。あのまま誰もそのことに気付かせてくれなかったら、私はヤブ医者になっていたかもしれない。いや、現在ヤブ医者じゃないとは100%言い切れないけど。

 “とりあえず”、薬のデギュスタシオンを2冊読んで、一時停止ボタンを作ろう。そして、薬をデギュスタシオンしてみよう。

 ちなみに本書の序文には、「背中のファスナーを下ろすとMRが出てくるような医者たちが消滅することを心から願ってやまない」という岩田健太郎先生の言葉があります。なんだ、やっぱりデギュスタシオンは、パワーワードなのか!


<目次>
せん妄に対する薬物療法(大滝 優・鎌田一宏)
高齢者への睡眠薬の投与方法(大滝 優・鎌田一宏)
ベンゾジアゼピン系睡眠薬(宮内倫也)
認知症に対するコリンエステラーゼ阻害薬の比較(宮内倫也)
気分安定薬としてのリチウムとバルプロ酸とラモトリギンの比較(宮内倫也)
抗うつ薬(三環系抗うつ薬,SSRI,SNRI)と骨折リスクの比較(青島周一)
抗うつ薬による低ナトリウム血症リスクの比較(青島周一)
部分発作に対する抗てんかん薬の比較(吉田剛・金城紀与史)
アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の比較(青島周一)
慢性心不全におけるループ利尿薬:フロセミド,トラセミド,アゾセミドの比較(青島周一)
スタチンの比較(本村和久)
輸液蘇生における膠質液と晶質液の比較(佐藤直行)
喘息発足時のメプチンとサルタノールとベネトリンの比較(倉原 優)
喘息の慢性期治療はICS単独かICS/LABAか(名郷直樹)
含嗽薬:イソジンガーグルとネオステリングリーンの比較(倉原 優)
胸膜癒着剤:ユニタルクとピシバニールの比較(倉原 優)
抗線維化薬:ピレスパとオフェブの比較(倉原 優)
肺炎発症リスクに影響を与える薬剤の比較(青島周一)
高齢者の便秘に対する薬物療法(大野 智)
SGLT2阻害薬間に違いはあるか(能登 洋)
DPP4阻害薬は本当にSU薬より優れるのか(能登 洋)
糖尿病患者に対するスタチンの比較:リポバス,メバロチン,ローコール,リピトール,クレストール,リバロ(能登 洋)
GLP-1受容体作動薬5種類の比較:バイエッタ,ビクトーザ,リキスミア,ビデュリオン,トルリシティ(岩岡秀明)
各種持効型インスリン製剤の比較:ランタス,レベミル,トレシーバ,ランタスXR,グラルギン,リリー(岩岡秀明)
超速効型インスリン製剤および混合型インスリン製剤の比較検討(岩岡秀明)
リファンピシンとリファブチンの比較(倉原 優)
クロストリジウムディフィシル感染症におけるメトロニダゾールとバンコマイシン(中久保 祥・岸田直樹)
尿路感染症におけるDe-escalation :アンピシリン(ABPC)とセファゾリン(CEZ)の比較(鎌田啓佑・岸田直樹)
ST合剤とペンタミジンとアトバコンの比較(佐藤直行)
EGFRチロシンキナーゼ阻害剤:イレッサとタルセバとジオトリフとタグリッソの比較(倉原 優)
緑内障治療における点眼薬の比較(青島周一)
ステロイド外用薬の使い分け(鎌田一宏)
止血剤:アドナとトランサミンの比較(倉原 優)
脳梗塞の抗血小板剤による慢性期二次予防(難波雄亮・金城紀与史)
桂枝茯苓丸と当帰芍薬散と加味逍遙散の比較(野上達也)
六君子湯とアコファイドとガスモチンの比較(野上達也)
抑肝散と抑肝散加陳皮半と釣藤散の比較(野上達也)
大建中湯と大黄甘草湯と麻子仁丸の比較(野上達也)
麦門冬湯と柴朴湯の比較      (野上達也)
漢方エキス製剤の各メーカーでの比較(野上達也)
四君子湯と四物湯の比較(宮内倫也)
補中益気湯と十全大補湯と人参養栄湯の比較(と六君子湯)(宮内倫也)
柴胡加竜骨牡蛎湯と桂枝加竜骨牡蛎湯と柴胡桂枝乾姜湯の比較(宮内倫也)
痛風発作に対するアロプリノールとフェブキソスタット(金城光代)
メトトレキサートとサラゾスルファピリジンとブシラミンとイグラチモドの比較(とタクロリムスについて)(佐藤直行)
変形性膝関節症に対するコンドロイチン,グルコサミンの比較(青島周一)
輸血前投薬(佐藤直行)
優先的にDeprescribingを考慮すべき薬剤の比較(青島周一)
認知症の行動・心理症状(BPSD)に対する薬物療法(大滝 優・鎌田一宏)





by otowelt | 2017-06-07 00:57 | その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
カレンダー