結核性胸膜炎の診断に胸水中IL-27が有用

結核性胸膜炎の診断に胸水中IL-27が有用_e0156318_9552565.jpg 結核性胸膜炎には悩まされていますから、非常に有用な報告ですね。

Wen Wang, et al.
Diagnostic accuracy of interleukin 27 for tuberculous pleural effusion: two prospective studies and one meta-analysis
Thorax 2017;0:1–8. doi:10.1136/thoraxjnl-2016-209718


背景:
 滲出性胸水の治療選択には正確な鑑別診断が肝要である。

目的:
 結核性胸膜炎に対する胸水中インターロイキン27の診断精度を調べること。

方法:
 インターロイキン27濃度、インターフェロンγ、ADAが51人の結核性胸膜炎患者および103人の非結核性胸膜炎患者の胸水で測定した(北京コホート)。北京コホートとは別に、その後120人の武漢コホートでも同様の検査を実施した。

結果:
 北京コホートでは、結核性胸膜炎の診断における胸水中インターロイキン27はカットオフ値を591.4 ng/Lに設定すると、AUC0.983 (95%信頼区間0.947 to 0.997)、感度96.1% (95%信頼区間86.5% to 99.5%)、特異度99.0% (95%信頼区間94.7% to 100%)、陽性適中率98.0 (95%信頼区間89.4 to 99.9)、陰性適中率98.1 (95%信頼区間93.3 to 99.8)だった。この診断精度の良さは、武漢コホートでも示された。インターロイキン27は、インターフェロンγと同等の精度を有し、ADAよりも精度が良かった。陰性の場合の検査後確率は0.1%未満であり、あらゆる結核蔓延地域で結核性胸膜炎を除外するのに役立つ。
結核性胸膜炎の診断に胸水中IL-27が有用_e0156318_1542578.jpg
(文献より引用:Figure1A,1B)
結核性胸膜炎の診断に胸水中IL-27が有用_e0156318_1543864.jpg
(文献より引用:Table3)

結論:
 高蔓延国における結核性胸膜炎の診断にインターロイキン27が有用かもしれない。この検査が陰性であれば、あらゆる結核蔓延地域で結核性胸膜炎を除外できるかもしれない。


by otowelt | 2017-09-19 00:34 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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