GOLD1~2のCOPDに対するチオトロピウムはプラセボよりも1秒量を増加させる
2017年 09月 09日
潜在的治療対象はこれでほぼ無限大となりました!ここまできたら、非COPD健常者に対する有効性も示せそう。(笑)ベーリンガーが運営する「スピリーBAR」という吸入薬BARができたりして。
冗談はさておき、実臨床ではどうやって平均mMRCが1未満のGOLD1の患者さんを受診させるのかという大きなハードルが立ちはだかります。
Yumin Zhou, et al.
Tiotropium in Early-Stage Chronic Obstructive Pulmonary Disease
N Engl J Med 2017; 377:923-935
背景:
軽症ないし中等症のCOPD患者は、症状がほとんどないゆえに薬剤を投与されることがほとんどない。これらのCOPD患者に対するチオトロピウムの長期投与が、肺機能を向上させ、肺機能低下を抑制するという仮説を立てた。
方法:
中国で行われた多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対照試験。GOLD 1または2のCOPD患者841人※をチオトロピウム(18 mg)1日1 回吸入群(419人)とマッチさせたプラセボを吸入する群(422人)にランダムに割り付け、2年間投与した。プライマリエンドポイントは、ベースラインから24ヶ月までの気管支拡張薬吸入前1秒量変化の群間差とした。
過去4週間以内にCOPD増悪を経験しているCOPD患者は除外された。
※集団スクリーニング検査で引っかかった者を登録。
結果:
平均年齢はプラセボ群63.9±8.6歳、チオトロピウム群64.2±8.2歳だった。GOLD1とGOLD2はほぼ半々のバランスだったが、ややGOLD2の方が多い配分となった。CATスコアはプラセボ群6.8±5.9点、チオトロピウム群7.4±6.2点だった。mMRCはプラセボ群0.8±0.7、チオトロピウム群0.7±0.7だった。
チオトロピウム群は、プラセボ群よりも1秒量変化が大きかった(気管支拡張薬吸入前の差平均範囲:127~169mL、吸入後71~133 mL、P<0.001)。気管支拡張薬吸入前の1秒量の平均年間低下量はチオトロピウム群38±6 mL、プラセボ群53±6 mLで有意差はなし(差:15 mL、95%信頼区間-1~31、P=0.06)。気管支拡張薬吸入後1秒量の平均年間低下量は、チオトロピウム群でプラセボ群よりも有意に小さかった(29±5 mL vs 51±6 mL,差22 mL [95%信頼区間6~37]、P=0.006)。
チオトロピウム群の28.9%、プラセボ群、39.2%がCOPD急性増悪を経験した。初回急性増悪までの期間は、プラセボ群よりチオトロピウム群の方が長かった(P<0.001)。また、COPD急性増悪の頻度についてもプラセボ群よりチオトロピウム群の方が低かった(0.27 vs. 0.50イベント/人年、リスク比0.53; 95%信頼区間0.39 to 0.73; P<0.001)。
結論:
GOLD1または2のCOPD患者において、チオトロピウムの投与はプラセボよりも24ヶ月の時点での1秒量が高く、気管支拡張薬吸入後1秒量の年間低下量を抑制した。
冗談はさておき、実臨床ではどうやって平均mMRCが1未満のGOLD1の患者さんを受診させるのかという大きなハードルが立ちはだかります。
Yumin Zhou, et al.
Tiotropium in Early-Stage Chronic Obstructive Pulmonary Disease
N Engl J Med 2017; 377:923-935
背景:
軽症ないし中等症のCOPD患者は、症状がほとんどないゆえに薬剤を投与されることがほとんどない。これらのCOPD患者に対するチオトロピウムの長期投与が、肺機能を向上させ、肺機能低下を抑制するという仮説を立てた。
方法:
中国で行われた多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対照試験。GOLD 1または2のCOPD患者841人※をチオトロピウム(18 mg)1日1 回吸入群(419人)とマッチさせたプラセボを吸入する群(422人)にランダムに割り付け、2年間投与した。プライマリエンドポイントは、ベースラインから24ヶ月までの気管支拡張薬吸入前1秒量変化の群間差とした。
過去4週間以内にCOPD増悪を経験しているCOPD患者は除外された。
※集団スクリーニング検査で引っかかった者を登録。
結果:
平均年齢はプラセボ群63.9±8.6歳、チオトロピウム群64.2±8.2歳だった。GOLD1とGOLD2はほぼ半々のバランスだったが、ややGOLD2の方が多い配分となった。CATスコアはプラセボ群6.8±5.9点、チオトロピウム群7.4±6.2点だった。mMRCはプラセボ群0.8±0.7、チオトロピウム群0.7±0.7だった。
チオトロピウム群は、プラセボ群よりも1秒量変化が大きかった(気管支拡張薬吸入前の差平均範囲:127~169mL、吸入後71~133 mL、P<0.001)。気管支拡張薬吸入前の1秒量の平均年間低下量はチオトロピウム群38±6 mL、プラセボ群53±6 mLで有意差はなし(差:15 mL、95%信頼区間-1~31、P=0.06)。気管支拡張薬吸入後1秒量の平均年間低下量は、チオトロピウム群でプラセボ群よりも有意に小さかった(29±5 mL vs 51±6 mL,差22 mL [95%信頼区間6~37]、P=0.006)。
チオトロピウム群の28.9%、プラセボ群、39.2%がCOPD急性増悪を経験した。初回急性増悪までの期間は、プラセボ群よりチオトロピウム群の方が長かった(P<0.001)。また、COPD急性増悪の頻度についてもプラセボ群よりチオトロピウム群の方が低かった(0.27 vs. 0.50イベント/人年、リスク比0.53; 95%信頼区間0.39 to 0.73; P<0.001)。
結論:
GOLD1または2のCOPD患者において、チオトロピウムの投与はプラセボよりも24ヶ月の時点での1秒量が高く、気管支拡張薬吸入後1秒量の年間低下量を抑制した。
by otowelt
| 2017-09-09 00:40
| 気管支喘息・COPD