TRANSFORM試験:heterogeneous emphysemaに対する気管支内バルブ(Zephyr)の多施設共同研究

TRANSFORM試験:heterogeneous emphysemaに対する気管支内バルブ(Zephyr)の多施設共同研究_e0156318_14441648.jpg 単施設でしかエビデンスがなかったのですが、これで本格的に脚光を浴びそうです。

Samuel V Kemp , et al.
A Multicenter RCT of Zephyr® Endobronchial Valve Treatment in Heterogeneous Emphysema (TRANSFORM)
AJRCCM, https://doi.org/10.1164/rccm.201707-1327OC

背景: 
 Zephyr気管支内バルブ(EBV)治療は、重症heterogeneous emphysema患者に対して有効であることが単施設ランダム化比較試験で示されている。これは、初めての多施設共同研究である。

目的:
 heterogeneous emphysemaで側副換気がないCOPD患者を対象に、Zephyr EBVの有効性と安全性を調べること。

方法:
 前向きに多施設共同でEBV+通常ケアあるいは通常ケアのいずれかに2:1にランダムに割り付けた。プライマリアウトカムは処置後3ヶ月時点でのベースラインからの1秒量改善12%以上とした。1秒量変化、残気量、6分間歩行距離、SGRQスコア、mMRCが3ヶ月時、6ヶ月時にアセスメントされた。

結果:
 97人の患者がランダム化された。EBV65人、通常ケア32人だった。3ヶ月時点で、EBV群の55.4%、通常ケア群の6.5%に1秒量12%以上の改善がみられた(p<0.001)。改善は6ヶ月目までも持続した(56.3%vs 3.2%、p<0.001)。6ヶ月時点での平均1秒量変化はEBV群20.7±29.6%、通常ケア群―8.6±13.0%だった。EBV群の89.8%が350mL以上の容量現減少を胸部CTで確認されていた。6ヶ月時点での残気量、6分間歩行距離、SGRQ、mMRC、BODEはすべて有意にEBV群の方が良好であった(all p<0.05)。気胸はEBVでよくみられ、65人中19人に発症した。

結論:
 側副換気のないheterogeneous emphysemaでは、EBVは臨床的に意義のある肺機能、症状、QOLの改善をもたらす。


by otowelt | 2017-10-19 00:42 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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