IPFの重症度分類判定改定案

IPFの重症度分類判定改定案_e0156318_7331272.jpg いずれ改訂されるでしょう。 

Kondoh Y, et al.
Disease severity staging system for idiopathic pulmonary fibrosis in Japan.
Respirology. 2017 Nov;22(8):1609-1614.


背景:
 日本では、IPFの疾患重症度分類が医療助成の決定のために用いられてきた。現在使われているシステムはPaO2と労作時SpO2低下によって重症度分類IからIVに割り振られる。IIIとIVでは予後予測能が良好であるが、IとIIでは良好ではないとされている。そのため、IとIIでの識別性を高めるため、改訂システムを提唱する。

方法:
 IPFの死亡率を予測するためにCox比例ハザードモデルを用いて改定システムと現行システムを比較した。両システムと比較するために、国際的に提唱されているGAPシステムについても評価した。
IPFの重症度分類判定改定案_e0156318_1436677.jpg

結果:
 215人のIPF患者を後ろ向きに検討した。単変量解析では現行システム、改訂システム、修正GAPシステムはすべて有意な予後予測因子であった。予後を識別するC統計値は、改定システムで修正GAPシステム・現行システムよりも高かった(それぞれ0.677、0.652、0.659)。1万のブートストラップサンプルから作成した当該モデルのC統計値はオリジナルモデルのものと同様で、良好な内的妥当性があると判断された(ぞれぞれ0.665 [95%信頼区間0.621–0.705]、 0.645 [95%信頼区間0.600–0.686]、0.659[95%信頼区間0.616–0.700])。多変量解析では改定システムと修正GAPシステムは独立予後予測因子と判断された。

結論:
 IPFの重症度分類判定の改定システムは、現行システムよりも良好な死亡予測が可能である。改定システムと修正GAPシステムはともにIPFの予後予測に有用である。


by otowelt | 2017-11-07 00:48 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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