CTガイド下針生検後の気胸のリスク因子

 世界的な平均よりは少し気胸の合併頻度が多い集団のようです。日本にも早くBioSentry™が上陸してほしいものですね。

参考:経皮的肺生検後の気胸を抑制するデバイス:BioSentry™

Zhao Y, et al.
Logistic regression analysis and a risk prediction model of pneumothorax after CT-guided needle biopsy.
J Thorac Dis. 2017 Nov;9(11):4750-4757.


背景:
 気胸はCTガイド下針生検のもっともよくみられる合併症である。この研究の目的は、気腫以外の気胸の独立リスク因子を同定することである。

方法:
 864人のCTガイド下針生検(18G)を受けた患者が登録された。気胸のリスク因子として、年齢、性別、気腫、病変サイズ短径、病変深度、体位、穿刺回数が候補に挙がった。単変量・多変量ロジスティック回帰分析を用いて気胸の予測モデルを確立した。

結果:
 気胸は864人中271人(31.4%)にみられた。単変量解析では、年齢、気腫、病変サイズが小さいこと、病変と胸膜の距離がないこと、腹臥位・側臥位、複数回穿刺が有意なリスク因子だった。多変量ロジスティック回帰分析では気腫、病変と胸膜に接触がないこと、腹臥位・側臥位、複数回穿刺が有意なリスク因子だった。この予測モデルを用いると、気胸診断の感度・特異度はそれぞれ56.8%、79.6%だった。

結論:
 CTガイド下生検後の気胸はよくみられる。この独立予測因子には、気腫、病変と胸膜に接触がないこと、腹臥位・側臥位、複数回穿刺が含まれた。


by otowelt | 2018-01-15 00:50 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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