TONADO試験事後解析:LAMA/LABA導入COPD患者においてβ遮断薬継続は問題なし
2018年 01月 31日

François Maltais, et al.
β-blockers in Chronic Obstructive Pulmonary Disease: a Cohort Study from the TONADO® Research Programme
CHEST DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.chest.2018.01.008
背景:
COPD患者において、心血管系疾患はよくみられる併存症である。多くの医師、特に呼吸器内科医は、心血管系イベントの予防に効果的であると証明されているにもかかわらず、COPD患者に対してβ遮断薬を処方するのに消極的である。
方法:
大規模第III相試験(TONADO1,2試験)において、長時間作用性気管支拡張薬を吸入している中等症~超重症COPD患者における肺機能および患者報告アウトカムを1年アセスメントした。この事後報告では、β遮断薬を内服しているサブグループにおける肺機能変化、患者報告アウトカム、安全性を調べた。
結果:
ベースラインで5162人のうち557人(11%)がβ遮断薬を内服していた。ベースラインの気管支拡張後1秒量はβ遮断薬内服群の方が高かった(1.470L vs 1.362L)。想定されていた通り、β遮断薬内服群の患者は心血管系へ依存症や投薬の既往が多かった。ベースラインからの肺機能変化はβ遮断薬群と非内服群で同等に改善し、24週・52週のトラフ1秒量あるいはトラフ努力性肺活量についても同等であった。SGRQスコアおよびTDIスコアにも差はなかった。安全性プロファイルは両群同等だった。
結論:
中等症~超重症COPD患者におけるチオトロピウム/オロダテロールの呼吸器系ステータスや安全性は、ベースラインのβ遮断薬内服に影響を受けなかった。この大規模コホート研究結果は、COPDと心血管系併存症のある患者において、β遮断薬を慎重かつ適切に使用することを支持する。
by otowelt
| 2018-01-31 00:48
| 気管支喘息・COPD