アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の急性期治療の比較:プレドニゾロン vs イトラコナゾール
2018年 02月 02日
ABPAの大家Agarwal教授の新しい論文です。ステロイド vs ステロイド+イトラコナゾールの比較にしなかった理由として、論文中に純粋にステロイドとイトラコナゾールのガチンコ比較をしたかったと書いておられます。
Agarwal R, et al.
A randomized trial of itraconazole versus prednisolone in acute-stage ABPA complicating asthma.
Chest. 2018 Jan 10. pii: S0012-3692(18)30077-1. doi: 10.1016/j.chest.2018.01.005. [Epub ahead of print]
背景および目的:
急性期アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)に対するイトラコナゾール単独療法の効果は不明である。本研究において、イトラコナゾール単独療法およびプレドニゾロン単独療法のの効果と安全性を調べた。
方法:
喘息を合併したABPA患者(イトラコナゾール非投与例)に対して、経口イトラコナゾールあるいはプレドニゾロンを4ヶ月投与した(2012年1月~2013年12月)。なお、本研究は盲検化されなかった。プライマリアウトカムは、6週間後の複合アウトカム(咳嗽・呼吸困難の改善[75%超]、放射線学的所見の改善[50%超]、血清IgEの減少[25%超])6週間後と3ヶ月後の治療後IgE減少率(%)、3ヶ月後と6ヶ月後の完全寛解、1年後と2年後にABPA増悪を経験した患者数とした。セカンダリアウトカムには、初回の増悪までの期間、肺機能変化、治療関連有害事象が含まれた。
イトラコナゾールレジメン:
200mg1日2回を4ヶ月内服。制酸剤併用は許可しなかった。
プレドニゾロンレジメン:
0.5mg/kg/dayを4週間、0.25mg/kg/dayを4週間、0.125mg/kg/dayを4週間。その後2週ごとに5mgずつ減量し、中止。合計4ヶ月内服。
※両レジメンとも喘息コントロールのための吸入ステロイド薬、長時間作用性β2刺激薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬の使用は許可された。
結果:
131人(プレドニゾロン63人、イトラコナゾール68人)が研究に組み込まれた。複合アウトカム(咳嗽・呼吸困難の改善[75%超]、放射線学的所見の改善[50%超]、血清IgEの減少[25%超])を満たした患者数は、プレドニゾロン群の方がイトラコナゾール群よりも多かった(100% vs. 88%; p=0.007)。6週間後と3ヶ月後にIgEの減少がみられた頻度、1年後と2年後にABPA増悪を経験した患者数は両群同等だった。増悪までの期間、肺機能検査についても両群同等だった。副作用はステロイド群の方が多かった(多毛、Cushing様体型、体重増加など)。
(文献より引用)
結論:
急性期ABPAの治療においてプレドニゾロンはイトラコナゾールよりも反応が良好であった。しかしながら、イトラコナゾールも効果的であり、プレドニゾロンより副作用が少なかった。そのため、ABPAの初期治療の代替として魅力的である。
Agarwal R, et al.
A randomized trial of itraconazole versus prednisolone in acute-stage ABPA complicating asthma.
Chest. 2018 Jan 10. pii: S0012-3692(18)30077-1. doi: 10.1016/j.chest.2018.01.005. [Epub ahead of print]
背景および目的:
急性期アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)に対するイトラコナゾール単独療法の効果は不明である。本研究において、イトラコナゾール単独療法およびプレドニゾロン単独療法のの効果と安全性を調べた。
方法:
喘息を合併したABPA患者(イトラコナゾール非投与例)に対して、経口イトラコナゾールあるいはプレドニゾロンを4ヶ月投与した(2012年1月~2013年12月)。なお、本研究は盲検化されなかった。プライマリアウトカムは、6週間後の複合アウトカム(咳嗽・呼吸困難の改善[75%超]、放射線学的所見の改善[50%超]、血清IgEの減少[25%超])6週間後と3ヶ月後の治療後IgE減少率(%)、3ヶ月後と6ヶ月後の完全寛解、1年後と2年後にABPA増悪を経験した患者数とした。セカンダリアウトカムには、初回の増悪までの期間、肺機能変化、治療関連有害事象が含まれた。
イトラコナゾールレジメン:
200mg1日2回を4ヶ月内服。制酸剤併用は許可しなかった。
プレドニゾロンレジメン:
0.5mg/kg/dayを4週間、0.25mg/kg/dayを4週間、0.125mg/kg/dayを4週間。その後2週ごとに5mgずつ減量し、中止。合計4ヶ月内服。
※両レジメンとも喘息コントロールのための吸入ステロイド薬、長時間作用性β2刺激薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬の使用は許可された。
結果:
131人(プレドニゾロン63人、イトラコナゾール68人)が研究に組み込まれた。複合アウトカム(咳嗽・呼吸困難の改善[75%超]、放射線学的所見の改善[50%超]、血清IgEの減少[25%超])を満たした患者数は、プレドニゾロン群の方がイトラコナゾール群よりも多かった(100% vs. 88%; p=0.007)。6週間後と3ヶ月後にIgEの減少がみられた頻度、1年後と2年後にABPA増悪を経験した患者数は両群同等だった。増悪までの期間、肺機能検査についても両群同等だった。副作用はステロイド群の方が多かった(多毛、Cushing様体型、体重増加など)。
結論:
急性期ABPAの治療においてプレドニゾロンはイトラコナゾールよりも反応が良好であった。しかしながら、イトラコナゾールも効果的であり、プレドニゾロンより副作用が少なかった。そのため、ABPAの初期治療の代替として魅力的である。
by otowelt
| 2018-02-02 00:08
| 感染症全般