書籍紹介:人工呼吸器の本 エッセンス

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 田中竜馬先生の本に対して、前回チャライ書評を書いてしまったので、ちょっと真面目に書いてみます。私は、緩急つけられるジューナンセイのある男なのです。

 この本は、Owens先生の書いた書籍を田中竜馬先生が翻訳したものです。清潔感のある明朝体が目に心地よく、さっぱりした医学書に仕上がっています。あ、何という明朝体フォントなのか、すごく気になっています!

 「すでに本書を購入して下さった方、あるいは書店でちょっと手に取ってみてこの前書きをご覧の方は、まず『人工呼吸器の十一戒』を読んでみて下さい。」

 まず、こんな文章が書いてあります。私も自著(ポケット呼吸器診療)で「呼吸器内科医として大切な診療スタンス10」というのを書いているので、何かOwens先生に親近感が湧きますね。え?足元にも及ばない?そりゃ、スツレイしました。さて、十一戒の中で私がビビっときたのは以下の3つです。

 II. 重症患者を不必要に苦しませるより、気管挿管して人工呼吸を行うほうが立派な行為である。
 IV. 人工呼吸器のモードは数多く知っておくべし。どの状況にも完璧なモードもなければ、完全に役に立たないモードもない。
 IX. 動的過部長を探し、あれば必ず治療すべし。こいつは油断ならない敵だ。
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 呼吸器内科では呼吸回数を増やしてもPaCO2が高くなる患者さんがいます。そういった場合、特に喫煙者では過膨張(auto-PEEP)は見逃せません。私が集中治療をローテートしていたころ、過膨張を軽視したことでCO2ナルコーシスが解除しにくかった患者さんがいました。当時の指導医は、呼吸回数を減らし呼気を長くする微調整と、ほんの少しの気管支拡張薬でこれを改善してみせました。ベーシックなことで今でも忘れてはならないことなのですが、この本を読んでいると、当時のことが思い出されます。

 本書の内容は、どちらかといえばOwens先生のマインド、ポリシーのようなものがコンパクトにまとまった印象で、辞書的な医学書というよりはエッセンスをまとめたもの。昔ほど私は人工呼吸器に触っていませんが、人工呼吸でどういうポイントにこだわるべきか、という集中治療のアカデミアとフィロソフィーがじわりと染み込んでいる良本だと思います。

 2000円とリーズナブルで、すぐに読了できる本です。特に、人工呼吸器に触れることが多い若手医師に休憩時間中読んでいただきたい一冊。





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by otowelt | 2018-03-07 00:09 | その他

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