STICS試験:小児に対するICS5倍戦略は重度の喘息発作の発生を減らさない

e0156318_1637713.jpg 小児に対する身長の懸念をあまり前面に出さないでほしいです。それを差し引いてもあまりある恩恵を受けているからです。


Daniel J. Jackso, et al.
Quintupling Inhaled Glucocorticoids to Prevent Childhood Asthma Exacerbations
N Engl J Med 2018; 378:891-901


背景:
 喘息は吸入ステロイド薬(ICS)などの喘息管理薬を定期的に使用していても、発作を起こす頻度が高い。臨床医は通常、喘息コントロール悪化の初期徴候があった場合、その期間にICSを増量する。しかし、小児におけるこの戦略の安全性と有効性に関するデータは限定的である。

方法:
 この研究では、軽症~中等症の持続型喘息で、過去 1 年間に全身性ステロイドで治療した喘息発作を1回以上起こしている5~11歳の小児254人を対象に検討した。低用量ICS(フルチカゾンプロピオン酸エステル44μg/吸入・1回2吸入1日2回)による維持療法を合計48週間適用したあと、同ICS量を継続する群(低用量群)と、喘息コントロール悪化の初期徴候がみられた期間(イエローゾーン)に5倍量(フルチカゾン 220μg/吸入・1回2吸入1日2回)を7日間吸入する群(高用量群)にランダムに割り付けた。治療は二重盲検下で行われた。全身ステロイド治療を要した重度の喘息発作の発生率をプライマリアウトカムとした。

結果:
 全身ステロイド治療を要した重度の喘息発作の発生率について、治療群間で有意差はなかった(高用量群0.48回/年 vs 低用量群0.37回/年、相対的比率1.3、95%信頼区間0.8-2.1、P=0.30)。初回発作までの期間、治療失敗率、喘息症状スコア、イエローゾーンでのアルブテロール使用にも、群間差はなかった。ステロイド総曝露量は高用量群のほうが低用量群よりも16%多かった。高用量群と低用量群の身長の伸びの差は-0.23 cm/年であった(P=0.06)。

結論:
 ICSを毎日使用している軽症~中等症の持続型喘息の小児において、喘息コントロール悪化の初期徴候を観察される期間にステロイドを5倍に増量しても、重度の喘息発作の発生率は低下しなかった。また、小児においては身長の伸びの減少と関連する可能性がある。


by otowelt | 2018-03-13 00:51 | 気管支喘息・COPD

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