IMPACT試験:COPDにおけるトリプル吸入療法は中等症あるいは重症COPD増悪を抑制
2018年 04月 22日
ATSでも発表される予定のIMPACT試験、Trelegy®エリプタのエビデンスです。日本でも数年以内に発売されるでしょう。
トラフ1秒量のイメージとして、50mL以上は上乗せされる印象です。
ICSが入ると、軽症とはいえ肺炎がやはりネックになりそうです。
IMPACT試験ではICS/LABAがLAMA/LABAよりもCOPD増悪アウトカムが優れていたとされていますが、FLAME試験ではLAMA/LABAの方が優れていました。この理由として、FLAME試験ではintrinsicにICS/LABAが必要だった人が除外されてしまっており、ICS/LABAの有効性が下方修正されていたのではないかとのことです。
David A. Lipson, et al.
Once-Daily Single-Inhaler Triple versus Dual Therapy in Patients with COPD
NEJM DOI: 10.1056/NEJMoa1713901
背景:
COPDにおけるトリプル吸入療法(ICS、LAMA、LABA)の2剤使用と比較した臨床的利益は不透明である。
方法:
10355人のCOPD患者を含むランダム化比較試験において、52週間の1日1回フルチカゾンフランカルボン酸(ICS)100μg+ウメクリジニウム(LAMA)62.5μg+ビランテロール(LABA)25μgのトリプル吸入療法を受けた群と、フルチカゾンフランカルボン酸+ビランテロールあるいはウメクリジニウム+ビランテロールの2剤治療を受けた群を比較した。いずれにレジメンもエリプタで吸入した。プライマリアウトカムは、治療中の中等症あるいは重症のCOPD増悪年間発生率とした。
結果:
中等症あるいは重症のCOPD増悪はトリプル吸入療法群で0.91/年、フルチカゾンフランカルボン酸+ビランテロール群で1.07/年だった(率比0.85、95%信頼区間0.80-0.90、15%差、p<0.001)。ウメクリジニウム+ビランテロール群では1.21/年だった(率比0.75、95%信頼区間0.70-0.81、25%差、P<0.001)。
入院を要する重症増悪の年間発生はトリプル吸入療法群で0.13であり、ウメクリジニウム+ビランテロール群で0.19(率比0.66、95%信頼区間0.56-0.78、34%差、p<0.001)だった。
(中等症~重症COPD増悪:文献より引用)
ウメクリジニウム+ビランテロール群と比較すると、肺炎はICSを使用した群で多かった。臨床医の診断した肺炎のリスクについても、ウメクリジニウム+ビランテロール群と比較するとトリプル吸入療法群の方が高かった (ハザード比1.53; 95%信頼区間1.22-1.92; P<0.001)。
(肺炎の頻度:文献より引用)
結論:
フルチカゾンフランカルボン酸+ウメクリジニウム+ビランテロールは、フルチカゾンフランカルボン酸+ビランテロールあるいはウメクリジニウム+ビランテロールと比較すると、中等症あるいは重症COPD増悪の頻度を低下させた。トリプル吸入療法は、ウメクリジニウム+ビランテロールと比較すると、COPDによる入院の頻度も低下させた。
トラフ1秒量のイメージとして、50mL以上は上乗せされる印象です。
ICSが入ると、軽症とはいえ肺炎がやはりネックになりそうです。
IMPACT試験ではICS/LABAがLAMA/LABAよりもCOPD増悪アウトカムが優れていたとされていますが、FLAME試験ではLAMA/LABAの方が優れていました。この理由として、FLAME試験ではintrinsicにICS/LABAが必要だった人が除外されてしまっており、ICS/LABAの有効性が下方修正されていたのではないかとのことです。
David A. Lipson, et al.
Once-Daily Single-Inhaler Triple versus Dual Therapy in Patients with COPD
NEJM DOI: 10.1056/NEJMoa1713901
背景:
COPDにおけるトリプル吸入療法(ICS、LAMA、LABA)の2剤使用と比較した臨床的利益は不透明である。
方法:
10355人のCOPD患者を含むランダム化比較試験において、52週間の1日1回フルチカゾンフランカルボン酸(ICS)100μg+ウメクリジニウム(LAMA)62.5μg+ビランテロール(LABA)25μgのトリプル吸入療法を受けた群と、フルチカゾンフランカルボン酸+ビランテロールあるいはウメクリジニウム+ビランテロールの2剤治療を受けた群を比較した。いずれにレジメンもエリプタで吸入した。プライマリアウトカムは、治療中の中等症あるいは重症のCOPD増悪年間発生率とした。
結果:
中等症あるいは重症のCOPD増悪はトリプル吸入療法群で0.91/年、フルチカゾンフランカルボン酸+ビランテロール群で1.07/年だった(率比0.85、95%信頼区間0.80-0.90、15%差、p<0.001)。ウメクリジニウム+ビランテロール群では1.21/年だった(率比0.75、95%信頼区間0.70-0.81、25%差、P<0.001)。
入院を要する重症増悪の年間発生はトリプル吸入療法群で0.13であり、ウメクリジニウム+ビランテロール群で0.19(率比0.66、95%信頼区間0.56-0.78、34%差、p<0.001)だった。
ウメクリジニウム+ビランテロール群と比較すると、肺炎はICSを使用した群で多かった。臨床医の診断した肺炎のリスクについても、ウメクリジニウム+ビランテロール群と比較するとトリプル吸入療法群の方が高かった (ハザード比1.53; 95%信頼区間1.22-1.92; P<0.001)。
(肺炎の頻度:文献より引用)
結論:
フルチカゾンフランカルボン酸+ウメクリジニウム+ビランテロールは、フルチカゾンフランカルボン酸+ビランテロールあるいはウメクリジニウム+ビランテロールと比較すると、中等症あるいは重症COPD増悪の頻度を低下させた。トリプル吸入療法は、ウメクリジニウム+ビランテロールと比較すると、COPDによる入院の頻度も低下させた。
by otowelt
| 2018-04-22 00:09
| 気管支喘息・COPD