IPFに対する遺伝子組み換え型ヒトペントラキシン2は肺機能低下を抑制
2018年 05月 25日

Raghu G, et al.
Effect of Recombinant Human Pentraxin 2 vs Placebo on Change in Forced Vital Capacity in Patients With Idiopathic Pulmonary FibrosisA Randomized Clinical Trial
JAMA. Published online May 20, 2018. doi:10.1001/jama.2018.6129
背景:
IPFは進行性肺疾患であり、予後不良である。適応のある治療をもってしても、疾患進行を止めることはできない。
目的:
この研究は、遺伝子組み換え型ヒト・ペントラキシン-2タンパク質製剤とプラセボを比較し、28週時点での努力性肺活量の平均変化を調べることである。
方法:
IPF患者117人(年齢40~80歳、%努力性肺活量50%~90%、1秒率70%超、%DLCO25~90%、6分間歩行距離150m以上)を対象に、第2相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験が7ヶ国18施設で実施された(2015年8月~2018年5月)。患者はランダムにペントラキシン2(10mg/kg静注4週ごと:77人)あるいはプラセボ(39人)に24週間割り付けられ、現在のIPF治療ステータスによって層別化された。
プライマリエンドポイントは、ベースラインから28週時点での%努力性肺活量の最小二乗平均変化とした(MCID:2~6%減少)。セカンダリエンドポイントは胸部HRCTにおける肺容量の変化、6分間歩行距離(MCID:24-45m)とした。
結果:
117人がランダム化された。116人が少なくとも1回の薬剤治療を受けた(平均年齢68.6歳、81%が男性、IPF診断からの平均期間3.8年)。111人が試験を完遂した。ベースラインから28週時点での%努力性肺活量の最小二乗平均変化は、ペントラキシン2群-2.5%、プラセボ群―4.8%だった(差+2.3%、p=0.001)。肺容量については両群とも有意差はなかった。6分間歩行距離はペントラキシン2群で-0.5m、プラセボ群で-31.8mだった(差+31.3m、p<0.001)。ペントラキシン2による有害事象は、咳嗽(18% vs 5%)、疲労(17% vs 10%)、鼻咽頭炎(16% vs 23%)がよくみられた。

結論:
プラセボと比較して、遺伝伝子組み換え型ヒト・ペントラキシン-2タンパク質製剤はIPF患者において28週時点での肺機能減少を抑制する。効果と安全性のさらなる検証が望まれる。
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by otowelt
| 2018-05-25 12:41
| びまん性肺疾患