COPD患者において、喘息合併や吸入ステロイド薬使用は肺癌リスクを減少させる
2018年 07月 12日

この話はよく取り沙汰されますが、吸入ステロイド薬を用いている患者さんが、実はぶっちゃけCOPDらしくないので肺癌にかかりにくい、というストーリーも考えられなくはないでしょうか。
Sandelin M, et al.
Factors associated with lung cancer in COPD patients.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2018 Jun 6;13:1833-1839.
背景:
肺癌の死亡リスクは、年齢・性別マッチのコントロールと比較するとCOPD患者で8倍高いと言われている。この研究の目的は、プライマリケアセンターにおける大規模COPD患者コホートで、肺癌に関連する因子を調べることである。
方法:
年齢、性別、社会経済的因子、併存症、薬物治療がCOPDにおける肺癌リスクに影響を与えるかどうかを解析するため、プライマリケアセッティングでのスウェーデンのCOPDコホートを用いた。後ろ向き観察研究である。
結果:
19894人の患者が登録された。594人(3.0%)に肺癌が診断された。多変量解析では、肺癌のリスクはCOPDと喘息の合併例では低かった(ハザード比0.54、95%信頼区間0.41-0.71)。一方で、年齢の増加とともに肺癌のリスクは上昇した。吸入ステロイド薬を処方された患者では用量依存性に肺癌リスクが減少した(ハザード比0.52、95%信頼区間0.37-0.73)。しかしながら、アセチルサリチル酸の使用者ではリスクが上昇した(ハザード比1.58、95%信頼区間1.15-2.16)。
結論:
この大規模集団ベースコホートにおいては、COPD患者における喘息の合併と吸入ステロイド薬の使用は肺がんリスクを減少させる独立因子であり、アセチルサリチル酸の使用はリスクを上昇させた。この研究の知見は、前向き研究でもって立証されるべきである。
![]() 気管支鏡ベストテクニック改訂2版 [ 浅野文祐 ] |
by otowelt | 2018-07-12 00:20 | 肺癌・その他腫瘍