本の紹介:京都ERポケットブック

 結論を先に書きます。一内科医の私が書いても説得力がないかもしれませんが、これほど優れた救急マニュアルを見たことがありません。感動に値する一冊です。
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発売日:2018年6月11日
単行本 : 408ページ
価格 : 3,500円 (税別)
出版社 : 医学書院
編集 : 洛和会音羽病院救命救急センター・京都ER

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 私は10年ちょっと前、このマニュアルの舞台である洛和会音羽病院の研修医をしていました。徳洲会系列ほどではありませんでしたが、毎日たくさんの救急車が搬送されてくる救急部で、数日に1回当直をしていました。救急診療の合間に、本棚の後ろにあるソファに座って、先人たちが作った珠玉のパワーポイントをパソコンで見るのが楽しかった。Gram染色をする場所が救急部の端っこにあり、研修医たちはいつもそこで染色していました。あの救急部は、常に研修医たちの居場所でした。

 私は医師になったばかりの頃、実は救急医を目指していました。しかし、手術を要するほどの重度の腰椎椎間板ヘルニアを患っていたため、救急や外科を避けたという情けない過去があります。もう少し体が強ければ、私も今頃救急の書籍を執筆していたかもしれません。どうでもいい、たらればですが。

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 さて、本書はポケットに入るほど小さいです。それでいて厚さは400ページあり、なんとフルカラーです。フルカラーで3,500円というのは、出版社にとってコスト的にキツイ出版のはずです。大手の医学書院だから実現できたのかもしれませんね。
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 主要徴候の全てに登場する「アタマの中」がとてもよい。救急医はこう考えているというのがよく分かるし、救急に携わっていない私でもちょっとデキそうな気にさせてくれます。現場でバリバリ使える実用的な側面と、アカデミックで辞書的な側面というのは相互排他的な関係にあることが多いのですが、この本は見事にそれらをニコイチに完成させている。病棟の対応にもそのまま使えます。
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 このマニュアルの恐ろしいところは異常なまでの実用性の高さにあります。救急対応に必要なことがほぼ網羅されており、余白も余すことなくビッシリとカラフルな文字と図表が埋められています。ステロイドの外用薬も写真入りで掲載されているし、トラブル患者の救急対応までも書かれています。

 研修医時代になぜこの本が無かったのか、と嫉妬せずにはいられない。外来・病棟・救急を受け持つすべての医師は、これを買わずして、一体何を買うのか。





by otowelt | 2018-07-28 00:00 | その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優