
Kathryn C. Arbour, et al.
Impact of Baseline Steroids on Efficacy of Programmed Cell Death-1 and Programmed Death-Ligand 1 Blockade in Patients With Non–Small-Cell Lung Cancer
Journal of Clinical Oncology, DOI: 10.1200/JCO.2018.79.0006
目的:
PD-(L)1阻害剤による治療は、今や肺癌の標準治療に位置付けられている。ステロイドの免疫抑制作用は、PD-(L)1阻害作用を減弱させるかもしれない。免疫関連副作用にステロイドを治療薬として使用しても、抗癌剤の効果には影響しないように考えられているが、治療開始時にベースラインでステロイドを使用している場合の影響は不明である。PD-(L)1阻害剤の臨床試験では、ベースラインでステロイドを使用している患者は除外されているため、われわれはリアルワールドで治療開始時にステロイドを使用している患者データを検討することとした。
方法:
われわれは、2施設(Memorial Sloan Kettering Cancer Center、Gustave Roussy Cancer Center)において、進行非小細胞肺癌患者でPD-(L)1阻害剤を単剤で開始した患者を抽出した。PD-(L)1阻害剤開始時にステロイドが使用されていたかどうか同定するため、診療記録と処方記録を評価した。Cox比例ハザード回帰モデルとロジスティック回帰分析を用いて多変量解析をおこなった。
結果:
PD-(L)1阻害剤で治療された640人のうち90人(14%)が、治療開始時ベースラインでプレドニゾロン換算10mg/日以上のステロイド投与を受けていた。よくみられたステロイドの適応は、呼吸困難(33%)、疲労(21%)、脳転移(19%)だった。

Memorial Sloan Kettering Cancer Center 455人、Gustave Roussy Cancer Center 185人の独立したコホートのいずれにおいても、ベースラインのステロイドは全奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を減少させた。喫煙歴、PS、脳転移既往で補正した多変量解析においても、ベースラインのステロイド使用はPFS(ハザード比1.3; P = .03)、OS (ハザード比1.7; P <.001)の減少と関連していた。

結論:
PD-(L)1阻害剤開始時点でプレドニゾロン換算10mg/日以上のステロイドを使用している場合、抗癌剤の効果が不良だった。非小細胞肺癌患者がPD-(L)1阻害剤治療を受ける場合、慎重にステロイドを使用すべきである。
![]() 末梢病変を捉える気管支鏡“枝読み”術 [ 栗本典昭 ] |