DRI11772試験:IPFに対するSAR156597の有効性見い出せず

DRI11772試験:IPFに対するSAR156597の有効性見い出せず_e0156318_10574046.jpg 期待されていた薬剤の1つでした。

Ganesh Raghu, et al.
SAR156597 in idiopathic pulmonary fibrosis: a phase 2, placebo-controlled study (DRI11772)
European Respiratory Journal 2018; DOI: 10.1183/13993003.01130-2018


背景:
 IPFに対して、プラセボと比較したSAR156597(インターロイキン4およびインターロイキン13に特異的なモノクローナル抗体)の有効性を評価した52週間の第2b相試験が実施された。

方法:
 DRI11772試験は、多施設共同二重盲検プラセボ対照第2b相試験である。40歳を超えるIPF患者がSAR156597 200mg週1回、SAR156597 200mg週2回、プラセボのいずれかに52週間割り付けられた。プライマリ効果エンドポイントは、52週時点でのベースラインからの努力性肺活量の絶対変化とした。

結果:
 327人がランダム化され、325人が治療を受けた。109人がプラセボ群、108人がSAR156597 200mg週2回群、108人がSAR156597 200mg週1回に割り付けられた。52週時点での努力性肺活量の平均変化は、それぞれ-5.8%、-5.2%、-6.3%だった(SAR156597 200mg週回2Q群とプラセボの比較:p=0.59; SAR156597 200mg週1回とプラセボの比較:p=0.63)。安全性プロファイルは3群同等であったが、SAR156597 200mg週1回で重篤な有害事象が多かった。

結論:
 DRI11772試験では、IPFに対するSAR156597の有効性を示せなかった。





by otowelt | 2018-11-01 00:36 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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