院内肺炎に対する抗MRSA薬のde-escalation

e0156318_10322082.jpg 特別な理由がない限り、基本的には経験的にカバーしない病原微生物だと思いますが・・・。

Maren C. Cowley, et al.
Outcomes associated with de-escalating anti-MRSA therapy in culture-negative nosocomial pneumonia
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.10.014


背景:
 培養陽性の院内肺炎において、広域の経験的抗菌薬治療から狭域のそれにde-escalationすることは、患者アウトカムに妥協することなく広域抗菌薬使用を減らすという知見が示されている。しかしながら、培養陰性の院内肺炎において抗MRSA薬のde-escalationの安全性は不透明である。この研究は、培養陰性の院内肺炎に対する抗MRSA薬のde-escalationが、28日死亡率および院内死亡率、ICU在室期間および入院期間、治療失敗、安全性に影響を与えるかどうか調べることを目的とした。

方法:
 この単施設後ろ向きコホート研究には、呼吸器検体の培養が陰性の院内肺炎で2012年~2017年に入院していた成人患者を登録した。de-escalationは、開始4日以内の抗MRSA薬中断と定義された。セカンダリアウトカムには院内死亡率、ICU在室期間および入院期間、治療失敗、急性腎傷害(AKI)の発生が設定された。

結果:
 279人の患者が登録され、187人がde-escalation(DE)群、92人が非de-escalation(NDE)群だった。de-escalationされていない患者はde-escalationされた患者よりもMRSAカバーが5日長かったものの、28日死亡率には差はなかった(NDE群28% vs DE群23%; 差 -5.5%[95%信頼区間-16.1~6.5])。de-escalationされた患者は開始日からの入院期間(DE群15日 vs NDE群20日; 差3.2日[95%信頼区間0.1~6.4])、ICU在室期間(DE群10日 vs NDE群13日; 差2.2日[95%信頼区間-0.3~4.9])が短かった。AKIの頻度は、de-escalationされていない患者のほうが高かった(DE群36% vs NDE群50%;差-13.8%[95%信頼区間-26.9~-0.4])。

結論:
 培養陰性の院内肺炎における抗MRSA薬のde-escalationは28日死亡率には影響を与えなかったが、入院期間の短縮やAKIの頻度の低下と関連していた。





by otowelt | 2018-11-07 00:07 | 感染症全般

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