本の紹介:科学的認知症診療 5Lessons

 怪物的な医学書に出合いました。認知症の分野には明るくありませんが、おそらく現時点でこの領域随一の医学書であることは間違いないでしょう。まえがきにある「最新の臨床研究や系統的レビュー、すなわち科学的根拠を紹介することに徹しました。」という言葉は、自信に満ち溢れており、頼もしい。

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発売日:2018年10月5日
単行本 : 226ページ
価格 : 3,000円 (税別)
出版社 : シーニュ
著者: 小田 陽彦 先生

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 最初の項目のタイトルは「認知症という疾患は存在しない」です。「え?」と思いますよね。読んでみて下さい、その理由が分かります。そこから先は、雪崩のごとく読み進めていきました。自分の浅はかさが恥ずかしくなるくらい、1つ1つのフレーズが心に響きました。
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 私の目を惹きつけたのは、まえがきで宣言されていた、エビデンスの数々。よくもまぁここまで臨床研究をご存知だなというくらい、膨大なデータの洪水。そして、1ページに1回は登場するであろう認知症診療に対する深い洞察。豊富な経験があってこその、ズッシリと重みある言葉たち。数えきれないくらいガツンとパンチをもらったので、一部抜粋して紹介します。

 「この人はアルツハイマー病、と臨床診断すると、その病名が終末期まで独り歩きする傾向がありますが、臨床診断は症状から病理診断を予想する行為に過ぎないという事実を医師自身が認識しておく必要があります。」

 「外してはいけない大原則は、告知は技術的に不可能、という点です。認知症性疾患の確定診断は病理診断でなされますが、現行の臨床診断基準は不完全で、しばしば病理診断と一致しないことがわかっています。」

 「認知症診療はしばしば難しいですが、難しくさせている原因の1つは医療者側の知識不足であり、ある当事者の言葉を借りるならば人災という側面もあることは否定できないと思います。」
 
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 「アリセプト®やメマリー®ってぶっちゃけエビデンスどうなの?」と思っている内科医は多いと思いますが、認知症に関するこうした疑問のほぼ全てを、科学的根拠でもってこの本が解決してくれるはずです。

 全体的に、余白がものすごく狭い。シーニュならではのこだわりでしょう。226ページですが、おそらく一般的な医学書350ページぶんくらいの内容はあるでしょう。ちょっと藤本社長、3,000円っていくらなんでも安すぎないですか?

 認知症の患者さんを診ることがある、すべての医師が持っておくべき一冊です。とりわけ、総合診療科畑の人たちにとっては、最高のリファレンスブックとなるでしょう。自信をもってオススメできます。




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科学的認知症診療5Lessons [ 小田陽彦 ]
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by otowelt | 2018-11-10 00:33 | 内科一般

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