Mycobacteroides abscessus complex感染症のerm(41) sequevarと臨床的特徴

Mycobacteroides abscessus complex感染症のerm(41) sequevarと臨床的特徴_e0156318_10555091.png C28 sequevarの存在は、Mycobacteroides abscessusの中でもクラリスロマイシンの有効性と関連しています。この遺伝子型は10~20%ほど存在すると考えられていますが、本研究では8.8%でした。市中病院でT28かC28か調べることは困難です。

Morimoto K, et al.
Clinico-microbiological analysis of 121 patients with pulmonary Mycobacteroides abscessus complex disease in Japan - An NTM-JRC study with RIT.
Respir Med. 2018 Dec;145:14-20.


背景:
 日本のようなMycobacteroides abscessus complex (MABC) 感染症の頻度が低い地域において、MABCの臨床的側面と微生物学的エビデンスを評価するための包括的解析はこれまで行われなかった。

目的:
 この研究は、MABCの臨床病理学的特性、すなわち臨床に関連したerm(41) sequevar、フェノタイプ(コロニー形態およびMIC)、ジェノタイプを明らかにすることを目的としている。

方法:
 2004年から2014年までの間、日本において合計121人のMABC患者(68人:M. abscessus subsp. abscessus、53人:M. abscessus subsp. massiliense)がこの後ろ向き臨床生物学的研究に組み込まれた。

結果:
 約30%のMABC患者が過去に非結核性抗酸菌(NTM)症の既往を有していた。さらに、患者の24.8%はMABCと診断された後もそのほかのNTM感染を合併していた。M. abscessusグループの患者の10%未満がerm(41)にT28C(C28)を有していた。M. massiliense のほうがM. abscessusよりも高い菌陰性化だった(それぞれ72.4%、34.8%, p = 0.002)一方で、再発についてはM. massiliense のほうが比較的多かったが統計学的に有意ではなかった(31.0% vs 21.7%、p=0.37)。追跡期間中の死亡は、M. abscessusで15人(22.1%)、M. massiliense で2人(3.8%)だった。
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(文献より引用)

 M. abscessusの患者において、治療反応性が良好だった患者は、治療抵抗性だった患者と比べて3日目のクラリスロマイシンのMICが有意に低かった(MIC中央値; 0.75 μg/ml vs 2.0 μg/ml, p = 0.03)。

 コロニー形態は、M. abscessusがrough:47.8%、smooth:28.4%、mixed:20.9%で、M. massiliense がrough:42.3%、smooth:28.8%、mixed:19.2%だった。臨床表現型とVNTRジェノタイプの間に有意な相関性はなかった。
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(文献より引用)

結論:
 MABC感染症において、他のNTMの既往や共存が比較的よくみられるため、これらの知見を注意深く臨床行動に適用すべきである。M. abscessusの早期クラリスロマイシン耐性とerm(41)機能の評価は、治療戦略を改善させるために重要である。





by otowelt | 2018-12-20 00:27 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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