実臨床におけるクライオバイオプシーの報告

実臨床におけるクライオバイオプシーの報告_e0156318_1543237.jpg クライオバイオプシーのデータがそろってきましたね。とりあえず気胸は約10%くらいのイメージです。

Wälscher J, et al.
Transbronchial Cryobiopsies for Diagnosing Interstitial Lung Disease: Real-Life Experience from a Tertiary Referral Center for Interstitial Lung Disease.
Respiration. 2018 Dec 14:1-7. doi: 10.1159/000493428.


背景:
 間質性肺疾患(ILD)の組織病理学的診断のための経気管支生検(cTBB)は外科的肺生検(SLB)の代替になるかもしれない。しかしながら、実臨床における経験は限られているものの、ケースシリーズの報告は増えている。

目的:
 我々は、ILDのために三次施設に紹介された症例において実臨床のcTBBの価値を評価した。

方法:
 2015年10月から2017年1月までにILDが疑われた全患者にcTBBをおこない、後ろ向きケースシリーズとした。処置の子細、合併症の頻度、組織病理学的結果、多面的チーム(MDT)検討による診断コンセンサスへの到達が照合・評価された。

結果:
 合計109人(平均年齢64歳、範囲19-85歳、66%が男性、38%が非喫煙者)がわれわれの施設にIKDを疑われて紹介され、cTBBをおこなった。平均努力性肺活量(%予測値)は77%(範囲41-131)で、平均DLCOは51%(範囲20-86)、6分間歩行試験(6MWT)は402m(範囲100-642m)だった。平均して生検は4回おこなわれ(範囲1-8回)、検体平均径は5mm(範囲2-12mm)だった。合併症として、気胸(11.9%)がみられたが、胸腔ドレーンによって全例治療できた。中等度の出血が28.4%にみられた(積極的な処置をおこなわずに全例軽快)。急性増悪や死亡例はなかった。組織病理学的パターン診断が80例(73.4%)におこなわれ、26.6%が非特異的な所見だった。MDTコンセンサス診断で検討例の83.5%が診断に到達できた。引き続くSLBは13人に推奨され、8人が受けた。

結論:
 実臨床セッティングにおいて、MDTアプローチのもとのcTBBには診断的価値があり、SLBが適格でない進行例であっても組織病理学的アセスメントが可能であろう。





by otowelt | 2019-01-07 00:23 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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