LAMにおける航空機旅行後の気胸リスクは高い

LAMにおける航空機旅行後の気胸リスクは高い_e0156318_21492533.jpg 以前からLAMは海外旅行時の気胸リスクと関連することが報告されています。

Gonano C, et al.
Air travel and incidence of pneumothorax in lymphangioleiomyomatosis.
Orphanet J Rare Dis. 2018 Dec 13;13(1):222.


背景:
 肺リンパ脈管筋腫症(LAM)は、呼吸機能不全と頻回の気胸をきたす多発性肺嚢胞によって特徴づけらた女性のまれな疾患である。航空機旅行は、機内の気圧変化によって胸膜直下の嚢胞が破裂するため、LAM患者に気胸のリスクを増加させる。航空機旅行がLAM患者の気胸リスクを上昇させるかどうか同定するため、われわれはヨーロッパ人のLAM患者会メンバーの後ろ向き調査を実施した。飛行機に関連した気胸は、航空機旅行から30日以内に発生したものと定義した。

結果:
 145人の女性が207回の気胸を報告した。データが得られた128人において、LAMの初発症状以降の年間気胸発生率は8%、LAM診断以降の年間気胸発生率は5%で、一般女性集団の0.006%と比較すると高かった。外科的あるいは化学的胸膜癒着術ののち、気胸再発がない確率は1年時点で82%、5年時点で68%、10年時点で59%であり、胸膜癒着術をしていない患者の55%、46%、39%と比べて高かった(p = 0.026)。データが得られた70人の患者が178回の航空機旅行を経験した。6回の飛行機関連気胸が5人に起こった。LAMの初発症状以降の気胸発生は、航空機旅行と関連のない期間よりも航空機旅行30日以内のほうが有意に多かった(22% vs 6%、リスク比3.58、95%信頼区間1.40-7.45)。
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(文献より引用:P:胸膜癒着術施行例、C:非施行例)

結論:
 LAM患者の気胸の発生は、一般女性集団よりも約1000倍多く、航空機旅行の後はさらに3倍増加する。化学的あるいは外科的胸膜癒着術は部分的にLAM患者の気胸再発リスクを減らす。





by otowelt | 2019-01-02 00:15 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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