IPFの咳嗽に対するPPIの有効性

IPFの咳嗽に対するPPIの有効性_e0156318_1543237.jpg うーん、Pros/Consが交互に出てくる印象です。IPF関連死亡については減少させるというメタアナリシスもありますが(Chest. 2018 Jun;153(6):1405-1415.)、総死亡について影響はないと結論づけられています。咳嗽が減るというエビデンスが追加されるのなら、ルーチンで使ってもよいと思います。IPFの咳嗽は本当にしんどいです。

Dutta P, et al.
Randomised, double-blind, placebo-controlled pilot trial of omeprazole in idiopathic pulmonary fibrosis.
Thorax. 2019 Jan 4. pii: thoraxjnl-2018-212102.


背景:
 特発性肺線維症(IPF)において咳嗽はよくみられる症状であり、胃酸逆流によって増悪するかもしれない。胃酸分泌を抑制することは、咳嗽を潜在的に減少しうる。この研究は、安全性評価と咳嗽定量化のための、IPF咳嗽に対するオメプラゾールの大規模多施設研究の実現可能性をはかることを目的とした。

方法:
 IPF患者におけるプロトンポンプ阻害剤(PPI)であるオメプラゾール(20mg1日2回3ヶ月)の効果をみた単施設二重盲検ランダム化プラセボ対照パイロット研究である。プライマリ臨床アウトカムは咳嗽の頻度とした。

結果:
 45人の被験者がランダム化され(23人がオメプラゾール群、22人がプラセボ群)、40人(各群20人)が治療前後の咳嗽モニタリングを受けた。280人の患者がこれらの被験者数を達成するためにスクリーニングされたが、制酸剤を中止することに対する障壁が組み入れできなかった唯一にして最大の理由だった。1ヶ月あたり平均1.5被験者を組み入れた。治療終了時の、ベースライン特性で補正した幾何学的平均咳嗽頻度は、プラセボ群と比較してオメプラゾール群で39.1%少なかった(95%信頼区間66.0%低-9.3%低)。オメプラゾールの忍容性は良好で、有害イベントプロファイルは両群同等だったが、オメプラゾールに関連してわずかながら下気道感染症の超過と1秒量および努力性肺活量の減少がみられた。
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(文献より引用:咳嗽頻度)

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(文献より引用:有害事象)

結論:
 IPFの咳嗽に対するPPIの大規模ランダム化比較試験は実現可能で妥当性があるが、ランダム化に対する障壁に対処し、呼吸器感染症および肺機能の変化に関連した安全性評価を組み込むべきであろう。





by otowelt | 2019-01-24 00:05 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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