COPD患者に対するインフルエンザワクチンはインフルエンザ関連入院を減らす
2019年 01月 31日
予想された結果ですが、COPD患者ではエビデンスはそこまで多くないらしいです。死亡率が高いのが目につきますね。
Mulpuru S, et al.
Effectiveness of Influenza Vaccination on Hospitalizations and Risk Factors for Severe Outcomes in Hospitalized Patients With COPD.
Chest. 2019 Jan;155(1):69-78.
背景:
COPD患者におけるインフルエンザ関連入院を減らすうえで、インフルエンザワクチンの有効性はあまり記述されておらず、インフルエンザワクチン接種の推奨は二の次になっている。
方法:
2011年から2015年に呼吸器系あるいはCOPD増悪で入院したCOPD患者を含んだ国内前向き多施設共同コホート研究のデータが解析された。全患者はインフルエンザPCRの鼻咽頭スワブスクリーニングをおこなわれた。プライマリアウトカムはインフルエンザ関連入院とした。インフルエンザ陽性例と陰性コントロール患者を設定し、test-negativeデザイン(症例対照研究)による多変量ロジスティック回帰を用いて、インフルエンザ関連入院を予防するワクチンの効果を検証した。
結果:
4755人のCOPD入院患者のうち、PCRベースでインフルエンザが陽性となったのは1833人(38.5%)だった。ワクチンステータスがある4198人(88.3%)が解析された。インフルエンザ感染症がない入院患者と比較して、インフルエンザ患者は高齢が多く(75歳超がそれぞれ50.8% vs 47.6%)、喫煙者が多く(34.4% vs 27.2%)、長期療養施設入所者が多く(9.2% vs 7.0%)、インフルエンザワクチン接種を受けていない頻度が高かった(58.9% vs 70.6%)。
補正後の解析において、インフルエンザ関連入院は、ワクチン接種者のほうがワクチン非接種者よりも37.5%(95%信頼区間27.3-46.2)少なかった。インフルエンザ陽性患者(1833人[38.5%])は粗死亡率(9.7% vs 7.9%; P = 0.047)、重症疾患(17.2% vs 12.1%; P < .001)が陰性患者よりも高かった。
(文献より引用)
インフルエンザ陽性患者の死亡リスク因子には、75歳を超える年齢(オッズ比3.7 [95%信頼区間0.4-30.3]), 心疾患合併(オッズ比2.0 [95%信頼区間1.3-3.2]), 長期ケア施設入所中 (オッズ比2.6 [95%信頼区間1.5-4.5]), 在宅酸素療法中(オッズ比2.9 [95%信頼区間1.6-5.1])が挙げられた。 (文献よ引用)
結論:
COPD患者においてインフルエンザワクチン接種はインフルエンザ関連入院を有意に減らす。COPD患者の予防接種推奨と抗ウイルス薬を早期に開始するための政策は、インフルエンザ関連の入院と重症疾患を減らし、脆弱な集団の医療費を軽減できるかもしれない。
Mulpuru S, et al.
Effectiveness of Influenza Vaccination on Hospitalizations and Risk Factors for Severe Outcomes in Hospitalized Patients With COPD.
Chest. 2019 Jan;155(1):69-78.
背景:
COPD患者におけるインフルエンザ関連入院を減らすうえで、インフルエンザワクチンの有効性はあまり記述されておらず、インフルエンザワクチン接種の推奨は二の次になっている。
方法:
2011年から2015年に呼吸器系あるいはCOPD増悪で入院したCOPD患者を含んだ国内前向き多施設共同コホート研究のデータが解析された。全患者はインフルエンザPCRの鼻咽頭スワブスクリーニングをおこなわれた。プライマリアウトカムはインフルエンザ関連入院とした。インフルエンザ陽性例と陰性コントロール患者を設定し、test-negativeデザイン(症例対照研究)による多変量ロジスティック回帰を用いて、インフルエンザ関連入院を予防するワクチンの効果を検証した。
結果:
4755人のCOPD入院患者のうち、PCRベースでインフルエンザが陽性となったのは1833人(38.5%)だった。ワクチンステータスがある4198人(88.3%)が解析された。インフルエンザ感染症がない入院患者と比較して、インフルエンザ患者は高齢が多く(75歳超がそれぞれ50.8% vs 47.6%)、喫煙者が多く(34.4% vs 27.2%)、長期療養施設入所者が多く(9.2% vs 7.0%)、インフルエンザワクチン接種を受けていない頻度が高かった(58.9% vs 70.6%)。
補正後の解析において、インフルエンザ関連入院は、ワクチン接種者のほうがワクチン非接種者よりも37.5%(95%信頼区間27.3-46.2)少なかった。インフルエンザ陽性患者(1833人[38.5%])は粗死亡率(9.7% vs 7.9%; P = 0.047)、重症疾患(17.2% vs 12.1%; P < .001)が陰性患者よりも高かった。
インフルエンザ陽性患者の死亡リスク因子には、75歳を超える年齢(オッズ比3.7 [95%信頼区間0.4-30.3]), 心疾患合併(オッズ比2.0 [95%信頼区間1.3-3.2]), 長期ケア施設入所中 (オッズ比2.6 [95%信頼区間1.5-4.5]), 在宅酸素療法中(オッズ比2.9 [95%信頼区間1.6-5.1])が挙げられた。
結論:
COPD患者においてインフルエンザワクチン接種はインフルエンザ関連入院を有意に減らす。COPD患者の予防接種推奨と抗ウイルス薬を早期に開始するための政策は、インフルエンザ関連の入院と重症疾患を減らし、脆弱な集団の医療費を軽減できるかもしれない。
by otowelt
| 2019-01-31 00:03
| 気管支喘息・COPD