喘息の入院に抗菌薬は不要か
2019年 02月 19日
もともと私は喘息発作で抗菌薬は使いません。それにしても、喘息の入院を数日しただけで4000ドルってえげつないですね。
Stefan MS, et al.
Association of Antibiotic Treatment With Outcomes in Patients Hospitalized for an Asthma Exacerbation Treated With Systemic Corticosteroids
JAMA Intern Med. 2019 Jan 28. doi: 10.1001/jamainternmed.2018.5394. [Epub ahead of print]
背景:
専門家による会のガイドラインでは喘息増悪の治療に対してエンピリックに抗生物質を使用することを推奨しているが、高い抗生物質処方率がアメリカなどで問題となっている。
目的:
喘息で入院し、ステロイド治療を受けた患者のうち、抗菌薬治療とアウトカムの関連を調べること。
デザイン・セッティング・参加者:
2015年1月1日から2016年12月31日までにアメリカの急性期ケア病院542施設において、喘息増悪で入院し全身性ステロイド治療を受けたた成人患者19811人の後ろ向きコホート研究。
暴露:
入院初期2日間に抗菌薬が開始され、最低2日間の処方されたものを想起抗菌薬と定義した。
主要アウトカム:
プライマリアウトカムは、入院期間とした。ほかの項目として、退院30日以内の治療失敗(人工呼吸器の開始、入院2日目以降のICU入室、入院中の死亡、喘息による再入院)、医療費、抗菌薬関連下痢が設定された。多変量補正、傾向スコアマッチ、傾向重み付け、操作変数解析を用いて抗菌薬治療とアウトカムの関連を調べた。
結果:
19811人の年齢中央値は46歳(IQR34-59歳)で、14389人(72.6%)が女性で、8771人(44.3%)が白人で、5120人(25.8%)で医療保険は健康保険が主な形態だった。抗菌薬は8788人(44.4%)に処方された。抗菌薬治療を受けていない人と比べると、治療を受けた患者は高齢(中央値48歳[IQR36-61] vs 45歳[IQR32-57])で、白人が多く(48.6% vs 40.9%)、喫煙者が多く(6.6% vs 5.3%)、併存症が多かった(例:うっ血性心不全は6.2% vs 5.8%)。抗菌薬で治療された患者は入院期間が有意に長かったが(中央値4日[IQR3-5] vs 3日[IQR2-4])、治療失敗は同等だった(5.4% vs 5.8%)。傾向スコアマッチ解析では、抗菌薬の払い出しは入院期間を29%延長することと関連しており(入院期間比1.29、95%信頼区間1.27-1.31)、入院費用を増加させた(中央値4776ドル[IQR3219-7373] vs 3641ドル[IQR2346-5942])。しかし、治療失敗リスクに差はなかった(傾向スコアマッチオッズ比0.95、95%信頼区間0.82-1.11)。多変量補正、傾向スコア重み付け、操作変数解析やその他複数の感度解析でも同等の結果だった。
結論:
抗菌薬治療は入院期間を延長させ、入院費用を増加させるが、治療失敗リスクは同等だった。これらの結果は、喘息で入院した患者における不適切な抗菌薬処方を減らす必要があることを強調するものである。
Stefan MS, et al.
Association of Antibiotic Treatment With Outcomes in Patients Hospitalized for an Asthma Exacerbation Treated With Systemic Corticosteroids
JAMA Intern Med. 2019 Jan 28. doi: 10.1001/jamainternmed.2018.5394. [Epub ahead of print]
背景:
専門家による会のガイドラインでは喘息増悪の治療に対してエンピリックに抗生物質を使用することを推奨しているが、高い抗生物質処方率がアメリカなどで問題となっている。
目的:
喘息で入院し、ステロイド治療を受けた患者のうち、抗菌薬治療とアウトカムの関連を調べること。
デザイン・セッティング・参加者:
2015年1月1日から2016年12月31日までにアメリカの急性期ケア病院542施設において、喘息増悪で入院し全身性ステロイド治療を受けたた成人患者19811人の後ろ向きコホート研究。
暴露:
入院初期2日間に抗菌薬が開始され、最低2日間の処方されたものを想起抗菌薬と定義した。
主要アウトカム:
プライマリアウトカムは、入院期間とした。ほかの項目として、退院30日以内の治療失敗(人工呼吸器の開始、入院2日目以降のICU入室、入院中の死亡、喘息による再入院)、医療費、抗菌薬関連下痢が設定された。多変量補正、傾向スコアマッチ、傾向重み付け、操作変数解析を用いて抗菌薬治療とアウトカムの関連を調べた。
結果:
19811人の年齢中央値は46歳(IQR34-59歳)で、14389人(72.6%)が女性で、8771人(44.3%)が白人で、5120人(25.8%)で医療保険は健康保険が主な形態だった。抗菌薬は8788人(44.4%)に処方された。抗菌薬治療を受けていない人と比べると、治療を受けた患者は高齢(中央値48歳[IQR36-61] vs 45歳[IQR32-57])で、白人が多く(48.6% vs 40.9%)、喫煙者が多く(6.6% vs 5.3%)、併存症が多かった(例:うっ血性心不全は6.2% vs 5.8%)。抗菌薬で治療された患者は入院期間が有意に長かったが(中央値4日[IQR3-5] vs 3日[IQR2-4])、治療失敗は同等だった(5.4% vs 5.8%)。傾向スコアマッチ解析では、抗菌薬の払い出しは入院期間を29%延長することと関連しており(入院期間比1.29、95%信頼区間1.27-1.31)、入院費用を増加させた(中央値4776ドル[IQR3219-7373] vs 3641ドル[IQR2346-5942])。しかし、治療失敗リスクに差はなかった(傾向スコアマッチオッズ比0.95、95%信頼区間0.82-1.11)。多変量補正、傾向スコア重み付け、操作変数解析やその他複数の感度解析でも同等の結果だった。
結論:
抗菌薬治療は入院期間を延長させ、入院費用を増加させるが、治療失敗リスクは同等だった。これらの結果は、喘息で入院した患者における不適切な抗菌薬処方を減らす必要があることを強調するものである。
by otowelt
| 2019-02-19 00:58
| 気管支喘息・COPD