嚢胞性線維症の喀血入院を減らすための全身性抗線維素溶解薬

嚢胞性線維症の喀血入院を減らすための全身性抗線維素溶解薬_e0156318_10495259.jpg 日本では定番のトランサミン®。

Hanny Al-Samkari, et al.
Antifibrinolytic Agents for Hemoptysis Management in Adults with Cystic Fibrosis
Chest, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2019.02.010


背景:
 喀血は嚢胞性線維症(CF)患者における罹患・死亡の主要原因である。抗線維素溶解薬は、出血性障害・状態にはばひろく有効性が示されている。われわれは、CFにおける喀血マネジメントに抗線維素溶解薬を使用する検討をおこなった。入院および外来で使用する臨床治療案を提示し、実施前後の出血による入院率について報告した。

方法:
 治療案にしたがって全身性抗線維素溶解薬を54ヶ月にわたって使用されたすべての成人CFが解析された。収集されたデータには、患者背景、ベースラインのCF関連特性、出血および治療パラメータが含まれた。年間の喀血による入院率を適用前後で比較し、有効性が評価された。

結果:
 全身性抗線維素溶解薬を用いられた72の喀血エピソードが合計21人のCF患者で解析された。エピソードの3分の2が中等量あるいは大量喀血だった。喀血は中央値2日で止血が得られた。外来治療は、登録後の年間喀血入院率の50%減少と関連しており(2.44入院/年 vs 1.23入院/年、P = 0.0024)、これは他の管理による変化とは独立していた。抗線維素溶解薬の忍容性は良好だった。同部位に血栓の既往がある患者1人に、中心静脈カテーテル関連の上肢深部静脈血栓がみられた。

結論:
 CF患者における全身性抗線維素溶解薬治療案は、入院の減少と関連していた。重篤な有害事象は観察されなかった。CF患者において全身性抗線維素溶解薬を用いる利益を判断するために、さらなる研究が必要である。





by otowelt | 2019-03-15 00:43 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31