気管支鏡に関する国内調査結果:2016年
2019年 03月 18日
Horinouchi H, et al.
Current status of diagnostic and therapeutic bronchoscopy in Japan: 2016 national survey of bronchoscopy.
Respir Investig. 2019 Feb 6. pii: S2212-5345(18)30230-2.
気管支鏡処置に関するアンケート調査の結果を報告した論文です。2010年にも行われたことがありますが、今回2016年のデータを公開しています。本アンケートに回答したのは、200~500床以上の大きめの病院がほとんどでした。
・外来気管支鏡
外来で気管支鏡をおこなうことが減りました。2010年には19.5%の施設がほぼ外来で実施していたものが、現在は6.8%と入院志向になりつつあります。これは安全面の懸念や入院稼働率の問題など、理由はいろいろあると思います。当院は基本的に全例入院でおこなっております。
・モダリティ
気管支鏡ナビゲーションシステムが導入されているのは41.7%とかなり多く、ここ数年で大きく飛躍した分野の1つではないでしょうか。VincentとBF-NAVIが2台巨頭のようです。
・気管支鏡処置関連
45.2%に予防的抗菌薬が処方されているのが解せませんでした(ほとんどが処置終了後内服)。個人的にはよほどの例を除けば不要と思っています。
49.0%がルーチンの静脈麻酔を用いていることがわかりました。そのうち76.9%がミダゾラムです。当院もミダゾラムを用いていますが、まだ全例ルーチンではありません。アトロピンの使用はもっと少ないかと思いましたが、まだルーチンで8.8%も用いられているそうです。さすがにエビデンスと逆行していますね。
経鼻気管支鏡をルーチンにおこなっているのは3.2%で、まだまだこちらは普及していませんね。当院も経口でおこなうことがほとんどです。
気管支鏡中の酸素投与をルーチンで行っているのは39.2%でした。当院ではSpO2モニタを測定し、問題なければ非投与でおこなっています。ただし、気管支肺胞洗浄を行う場合、基本的に酸素を吸入していただいています。
気管支鏡後レントゲンをルーチンで撮影しているのは43.5%、選択症例におこなっているのは40.2%でした。当院では生検をおこなった症例には全例実施していますが、観察目的の場合には処置後撮影しておりません。
気管支鏡ベストテクニック改訂2版 [ 浅野文祐 ] |
by otowelt
| 2019-03-18 15:31
| 気管支鏡