肺kansasii症に対するマクロライド含有レジメンの有効性

肺kansasii症に対するマクロライド含有レジメンの有効性_e0156318_21415744.jpg 10年くらい後ろ向きにみると、もっと症例集まる病院がたくさんあると思うのですが、誰かやらないんですかね(他力本願)。当院ではカンサシ症に対してはイソニアジド+リファンピシン+エタンブトールを培養陰性から1年継続するレジメンを採用しています。
 なんか自然治癒する例もありそうなんですけど、今の時代、さすがにプラセボ群は設定できないですよね。

Moon SM, et al.
Treatment with a macrolide-containing regimen for Mycobacterium kansasii pulmonary disease.
Respir Med. 2019 Mar;148:37-42.


背景
 Mycobacterium kansasiiは、肺非結核性抗酸菌症に関連した主要な病原菌である。肺M. kansasii症に対する治療として、イソニアジド、リファンピシン、エタンブトールの毎日の内服が推奨されている。イソニアジドの代替としてマクロライド含有レジメンが近年推奨されているが、それを支持するデータは限られている。われわれは、肺M. kansasii症患者においてマクロライド含有レジメン(マクロライド群)とイソニアジド含有レジメン(イソニアジド群)を比較した。

方法:
 2002年1月から2016年12月までに合計49人の患者が同定された。イソニアジド群(24人)およびマクロライド群(25人)が比較された。

結果:
 ベースラインの患者特性は両群同等だった。良好な転帰については、イソニアジド群(19人、79%)、マクロライド群(22人、88%)ともに有意差はなかった(p=0.463)。総治療期間(中央値17.9ヶ月 vs 15.4ヶ月、p=0.712)および菌陰性化までの期間(中央値2.0ヶ月 vs 1.2ヶ月、p=0.838)は両群同等だった。
 非空洞性肺M. kansasii症患者5人において、週3回の間欠的なマクロライド含有レジメンで12ヶ月未満の治療で菌陰性化が達成された。イソニアジド群で1人のみが肺M. kansasii症を再発した。

結論:
 肺M. kansasii症の治療においてマクロライド含有レジメンはイソニアジド含有レジメンと同等の効果である。加えて、マクロライド含有間欠的レジメンも、非空洞性肺M. kansasii症に対して代替治療オプションになりうる。


by otowelt | 2019-03-29 00:25 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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