乳房手術前の胸部傍脊椎ブロックにおける気胸の頻度

乳房手術前の胸部傍脊椎ブロックにおける気胸の頻度_e0156318_1053082.png 麻酔科領域の話です。

Kelly ME, et al.
Thoracic paravertebral blockade in breast surgery: Is pneumothorax an appreciable concern? A review of over 1000 cases.
Breast J. 2018 Jan;24(1):23-27.


背景:
 ここ数十年の間に、外来における日帰りの乳房手術は大幅に増加している。これは主に麻酔処置と先制的な鎮痛の改善​​によるものである。胸部傍脊椎ブロック(TPVB)がよく用いられるようになったが、医原性損傷、とりわけ気胸に対する懸念は依然として残っている。

方法:
 この研究の目的は乳房手術前にTPVBをおこなったときの、気胸発症の頻度をレビューすることである。データは2009年から2014年までに乳房手術前にTPVBをおこなわれた連続患者から得た。TPVBは、片側および両側の処置前に適用された。胸膜穿刺、気胸、低血圧、徐脈、局所麻酔による中毒の徴候や症状を含む全合併症について診療録を後ろ向きにアセスメントした。

結果:
 1152人が1322のTPVBをおこなわれた(982人が片側、340人が両側)。臨床的に有意な低血圧や徐脈は26人(2.2%)に起こった。2人(0.17%)が局所麻酔中毒を疑われた。胸膜穿刺の頻度は0.6%(9人)であり、気胸は0.26%(3人)だった。すべての気胸は保存的に経過をみることができた。片側TPVBと両側TPVBの合併症率に統計学的な有意差はなかった(p=0.09)。

結論:
 術前の迅速な鎮痛は急性術後疼痛を予防するのに適切である。この研究では、TPVBは忍容性の高い処置であり、医原性損傷や合併症の頻度への関連は低かった。




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by otowelt | 2019-03-11 00:23 | その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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