閉経前女性の気胸では月経随伴性気胸を疑うべし

閉経前女性の気胸では月経随伴性気胸を疑うべし_e0156318_14441648.jpg 厳密には、月経随伴性気胸とLAMを疑うべきでしょうけどね。

Shrestha B, et al.
Catamenial Pneumothorax, a Commonly Misdiagnosed Thoracic Condition: Multicentre Experience and Audit of a Small Case Series With Review of the Literature.
Heart Lung Circ. 2019 Feb 22. pii: S1443-9506(19)30047-2.


背景:
 月経随伴性気胸(CP)は、閉経前女性にまれにみられるもので、ただの自然気胸とよく誤診される。月経の1日前や開始72時間以内に再発することが特徴である。胸郭の子宮内膜症が関連しているが、その疫学はよくわかっておらず、適切なマネジメントに対する統一した見解もない。この研究の目的は、外科患者におけるCPの頻度および治療結果を記すことである。

方法:
 異なる4病院において、10年のあいだに気胸と診断された30~50歳の女性で、外科に入院したものからCPについて後ろ向きに検討した。CPに関する文献のシステマティックレビューに加えて、CP患者の外科的および医学的マネジメント、ならびにそれらの短期から中期のアウトカムを調査した。

結果:
 合計120人の気胸と診断された閉経前女性がビデオ補助胸腔鏡(VAT)外科手術のために入院し、そのうち5人(4.1%)が外科的・組織学的にCPであり平均年齢は42.6歳だった。最初の症例は5年前に診断され、直近12ヶ月以内の最後の3症例はCPの疑いがある場合に横隔膜表面の検査をおこなうという治療方針を変更した後の症例であった。4人の患者は横隔膜縫縮を受け、1人の患者は胸膜生検を受けた。CPがもっとも考えやすかったため、全例タルクによる胸膜癒着術を受け、ホルモン治療が術後に開始された(平均25.2ヶ月)。

結論:
 再発性気胸を呈する閉経前の女性患者のコホートの多くは、横隔膜表面のルーチン検査があまりおこなわれないため、自然気胸と誤診されやすい。月経歴と気胸発症の関係性については、再発性気胸を呈するすべての女性に対して評価されるべきであり、外科手術とホルモン療法で良好な転帰をもたらすためにも、CPを高強く疑う患者では横隔膜表面の検索を術中におこなうべきである。






by otowelt | 2019-04-01 00:55 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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