FLORALI-2試験:非侵襲性換気あるいはネーザルハイフローによる前酸素化

e0156318_932349.png 小規模なランダム化比較試験が1つしかない分野に踏み込んだ報告です。

Frat JP, et al.
Non-invasive ventilation versus high-flow nasal cannula oxygen therapy with apnoeic oxygenation for preoxygenation before intubation of patients with acute hypoxaemic respiratory failure: a randomised, multicentre, open-label trial
Lancet Respir Med, March 18, 2019, http://dx.doi.org/10.1016/S2213-2600(19)30048-7


背景:
 非侵襲性換気は、ハイフロー酸素療法と比較して挿管中の重症低酸素血症リスクを減らすかどうかまだ示されていない。われわれは、非侵襲性換気による前酸素化(preoxygenation)がハイフロー酸素療法よりも挿管中の重症低酸素血症リスクを減らす上で効果的かどうか調べるために本研究をおこなった。

方法:
 FLORALI-2試験は、フランスの28のICUで実施された多施設共同オープンラベル試験である。急性低酸素性呼吸不全(PaO2/FiO2比≦300mmHg)に対して気管挿管がおこなわれた成人患者がランダムに1:1の割合で、前酸素化のため非侵襲性換気あるいはハイフロー酸素療法に割り付けられた(PaO2/FiO2比によって層別化:200mmHg以下、200mmHg超)。除外基準は、心肺停止による挿管、意識障害(GCS≦8点)、その他非侵襲性換気の禁忌(直近の喉頭、食道、胃手術、顔面骨折)、パルスオキシメーターが使用できない例、授乳婦、患者拒否など。プライマリアウトカムは、ITT集団における処置中の重症低酸素血症(パルスオキシメーターで80%未満)とした。

結果:
 2016年4月15日~2017年1月8日までに参加28施設において2079人の患者が挿管され、322人が登録された。記録がなかった5人の患者、同意撤回あるいは法律で保護された2人の患者、挿管されなかった1人の患者、心肺停止だった1人の患者が除外された。ITT解析に組み入れられた313人のうち、142人が非侵襲性換気群、171人がハイフロー酸素療法群だった。重症低酸素血症は非侵襲性換気による前酸素化が適用された142人のうち33人(23%)、ハイフロー酸素療法が適用された171人のうち47人(27%)にみられた(絶対差-4.2%、95%信頼区間-13.7~5.5、p=0.39)。中等症から重症の低酸素血症(PaO2/FiO2比≦200mmHg以下)だった242人において、前酸素化のあとに重症低酸素血症を起こす頻度は非侵襲性換気のほうがハイフロー酸素療法より低かった(117人中28人[24%] vs 125人中44人[35%]、補正オッズ比0.56,95%信頼区間0.32-0.99, p=0.0459)。重篤な有害事象に群間差はなく、収縮期動脈血圧の上昇(非侵襲性換気群70人[48%] vs ハイフロー酸素療法群86人[50%])および胸部X線写真上の浸潤影(28人[20%] vs 33人[19%])がもっともよくみられた早期合併症で、28日時点での死亡(53人[37%] vs 58人[34%])およびICU入室中の人工呼吸器関連肺炎(31人[22%] vs 35人[20%])がもっともよくみられた後期合併症だった。
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(文献より引用:ITT集団における低酸素血症)

結論:
 急性低酸素性呼吸不全の患者において、非侵襲性換気あるいはハイフロー酸素療法による前酸素化には、重症低酸素血症のリスクの軽減に差をもたらさなかった。ベースラインが中等症~重症の低酸素血症の患者において、効果的な前酸素化の方法を今後模索する必要がある。



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by otowelt | 2019-04-09 00:55 | 集中治療

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