CART解析によるCOPD増悪の予後不良因子

CART解析によるCOPD増悪の予後不良因子_e0156318_1633480.jpg 臨床的にもそうだろうなぁというリスク因子が並んでいますね。

Sprooten RTM, et al.
Risk stratification for short-term mortality at hospital admission for acute exacerbations of COPD.
Respirology. 2019 Mar 21. doi: 10.1111/resp.13538.


背景および目的:
 COPD増悪(ECOPD)は、院内死亡率および短期的死亡率の増加と関連している。有害アウトカムの予想が簡単にできるモデルを作ることで、日々の臨床プラクティスの有用性が増し、意思決定を促進させるかもしれない。われわれは、重症ECOPD後の短期的死亡率とその潜在的予測因子をアセスメントした。CART(Classification and Regression Tree)モデルを用いて、有害アウトカムの予測因子を同定した。

方法:
 マーストリヒト大学医療センターに2011年6月から2014年12月までに入院したECOPDの全患者を含む後ろ向き観察コホート研究が実施された。直近の入院が解析対象となり、背景、臨床的および生化学的データが記録された。

結果:
 合計364人の患者が登録された。平均年齢は70.5±10.2歳で、54.4%が男性で、平均予測1秒量は45.2±17.7%だった。院内死亡率、90日死亡率はそれぞれ8.5%、16.2%だった。90日死亡の独立リスク因子は、PaCO2(オッズ比1.31; 95%信頼区間1.00-0.35), 年齢(オッズ比 1.09; 95%信頼区間0.06-0.11), BMI<18.5 kg/m2 (オッズ比2.72; 95%信頼区間0.53-1.47)、過去2年でECOPDによる入院歴あり(オッズ比1.29; 95%信頼区間-0.14, -0.65)だった。CARTモデルでは、PaCO2≧9.1kPa、年齢>80歳、BMI<18.5 kg/m2、過去のECOPD入院歴がもっとも鑑別できる因子だった。

結論:
 CART解析によれば、PaCO2高値、BMI低値、過去2年のECOPDによる入院歴は、重症ECOPD患者における90日死亡のもっとも強力な予測因子だった。これらの因子がなければ、死亡患者はおらず、このモデルはリスクの層別化に有用であろう。



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

Dr.倉原の 呼吸にまつわる数字のはなし ナース・研修医のための
価格:2160円(税込、送料無料) (2019/1/10時点)



by otowelt | 2019-04-10 00:40 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31