MABA:バテフェンテロールのランダム化比較試験について

MABA:バテフェンテロールのランダム化比較試験について_e0156318_1633480.jpg MABAについては2015年に記事に書きました。
COPD吸入薬の進化:MABA ~LAMAとLABAの合体?~

COPDの教科書のp146にも将来有望な吸入薬としてコラムを書いております。
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 というわけで、今後MABAのランダム化比較試験が実現しそうです。市場に出てくるかどうかはまだわかりません。

Crim C, et al.
Randomized dose-finding study of batefenterol via dry powder inhaler in patients with COPD.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 Mar 8;14:615-629.


背景:
 バテフェンテロール(batefenterol)は、COPDに対する新規の二機能性ムスカリン受容体アンタゴニスト・β2アゴニストである。このランダム化二重盲検プラセボ対照比較IIb相試験の主目的は、バテフェンテロールの量反応をモデルし、第III相試験の用量を選択することである。

患者および方法:
 40歳以上で、予測1秒量が30%~70%のCOPD患者をランダムにバテフェンテロール37.5µg、75µg、150µg、300µg、600µg、プラセボあるいはウメクリジニウム/ビランテロール62.5/25µgを1日1回吸入する群のいずれかに割り付けられた。プライマリエンドポイントとセカンダリエドポイントはそれぞれ荷重平均1秒量(吸入後0-6時間)、トラフ1秒量とされ、投与42日目における用量反応モデルのベイズ推定と最尤推定Emaxから解析された。

結果:
 ITT集団(323人)において、すべてのバテフェンテロール用量は統計学的および臨床的に有意なプライマリ・セカンダリ両エンドポイントのベースラインからの改善を認めた(それぞれ191.1-292.8mL、182.2-244.8mL)。量反応は平坦な形状だった(図)。
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(文献より引用)
 サルブタモールの気道可逆性をみたサブグループでは、バテフェンテロールの用量のあいだで大きな差が出た。バテフェンテロール150µg以上における肺機能の改善は、ウメクリジニウム/ビランテロールと同等だった。バテフェンテロールの忍容性は良好で、あらたな安全性懸念も観察されなかった。

結論:
 バテフェンテロール300µgが第3相試験における適切な用量と思われる。



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by otowelt | 2019-04-11 00:14 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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