ニューモシスチス肺炎に対するエキノキャンディン
2019年 05月 10日

Huang YS, et al.
Echinocandins as alternative treatment for HIV-infected patients with Pneumocystis pneumonia.
AIDS. 2019 Mar 19. doi: 10.1097/QAD.0000000000002207.
目的:
ニューモシスチス肺炎(PCP)に対するST合剤治療は副作用としばしば関連している。エキノキャンディンは、Pneumocystis jiroveciiの嚢子を阻害することで、PCPの代替治療になるかもしれない。しかしながら、HIV感染患者に対するPCP治療におけるエキノキャンディンの臨床経験は、まだ限られている。
方法:
2013年8月から2018年4月までのあいだ、PCPと確定診断されたHIV感染患者のうち、ST合剤に忍容性・反応性がなかった際エキノキャンディンを投与されたもののデータを後ろ向きにレビューし、エキノキャンディン単剤あるいはその他薬剤との併用に関する効果と安全性を調べた。
結果:
合計34人の患者が組み込まれ、CD4陽性細胞の中央値は27/mm3(IQR 20-93)だった。24人(70.6%)の患者が中等症~重症のPCPだった。もっともよくみられたST合剤中止の有害事象は、肝障害(29.4%)、消化器系の不調(23.5%)、皮疹(17.6%)だった。9人(26.5%)の患者が、ST合剤治療失敗の後エキノキャンディンにスイッチした。ST合剤からエキノキャンディンへスイッチするまでの間隔の中央値は9.0日(IQR 5.0-14.0日)だった。エキノキャンディンを代替治療として投与された患者の総死亡率およびPCP関連院内死亡率は、それぞれ20.6%(34人中7人)、14.7%(34人中5人)だった。軽症PCPの院内総死亡率は0%で、中等症~重症PCPは29%(24人中7人)だった。ファーストラインのST合剤治療に反応しなかった患者は、ST合剤治療が失敗しなかった患者と比べると院内死亡率が高い傾向にあった (44.4% vs 12.0%, p = 0.06)。
結論:
ST合剤に忍容性がなかったHIV感染PCP患者に対して、エキノキャンディン治療は代替治療オプションになりうる。
by otowelt
| 2019-05-10 00:02
| 感染症全般