メタアナリシス:COPDに対するトリプル吸入療法と2剤併用療法の比較

メタアナリシス:COPDに対するトリプル吸入療法と2剤併用療法の比較_e0156318_1633480.jpg 予想通りの結果でした。

Zayed Y, et al.
Triple versus Dual Inhaler therapy in moderate-to-severe COPD: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials.
Clin Respir J. 2019 Apr 4. doi: 10.1111/crj.13026.


背景:
 COPD治療はトリプル吸入療法により特に進歩がみられている。

目的:
 吸入ステロイド(ICS)、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、長時間作用性β2刺激薬によるトリプル吸入療法の安全性と有効性を2剤併用療法(ICS-LABAあるいはLAMA-LABA)と比較検討するためメタアナリシスを実施すること。

方法:
 トリプル吸入療法と2剤吸入療法を比較したランダム化比較試験(RCT)を組み入れるべく、電子データベースを検索した。プールされた率比(RR)あるいはオッズ比(OR)、加重平均差(MD)が95%信頼区間とともに算出された。

結果:
 われわれの研究では、12のRCT、合計19322人が組み入れられた。平均年齢は65±8.2歳で、68.2%が男性だった。プール解析では、中等症~重症COPD増悪はトリプル吸入療法群で有意に少なかった(RR0.75、95%信頼区間0.69-0.83、p<0.01)。さらに、トリプル吸入療法はトラフ1秒量を有意に増加させ(MD0.09L、95%信頼区間0.07-0.12、p<0.01)、平均SGRQスコアを有意に減少させ(MD -1.67; 95%信頼区間-2.02- -1.31; P<0.01)、SGRQスコアが4点以上減少した患者が多かった(OR 1.27; 95%信頼区間1.19-1.35; P<0.01)。トリプル吸入療法は、LAMA/LABAと比較して肺炎のリスク上昇と関連していたが(OR 1.25; 95%信頼区間1.03-1.97; P=0.03)、その他の有害イベントについては差はなかった。

結論:
 中等症~重症COPDの患者において、トリプル吸入療法は2剤併用療法と比較して中等症~重症COPD増悪の減少、肺機能改善、QOL改善と関連していたが、肺炎リスクは上昇した。



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

Dr.倉原の 呼吸にまつわる数字のはなし ナース・研修医のための
価格:2160円(税込、送料無料) (2019/1/10時点)



by otowelt | 2019-04-24 00:03 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31