特発性f-NSIPにおけるKL-6とSP-D

特発性f-NSIPにおけるKL-6とSP-D_e0156318_1543237.jpg IPAF f-NSIPの勉強になりました。

Yamakawa H, et al.
Evaluation of changes in the serum levels of Krebs von den Lungen-6 and surfactant protein-D over time as important biomarkers in idiopathic fibrotic nonspecific interstitial pneumonia
Respiratory Investigation, https://doi.org/10.1016/j.resinv.2019.03.006


背景:
 特発性f-NSIPの患者の一部は、特発性肺線維症と同様に進行性の経過をたどる。しかしながら、患者アウトカムの不良を予測することは難しい。この研究では、KL-6およびSP-Dの経時的変化が疾患増悪を予測することができるかどうか評価するものである。

方法:
 経過中に膠原病を発症した患者は除外された。われわれは後ろ向きに特発性f-NSIP患者75人の診療録を解析した。疾患経過を長期的な肺機能検査の変化によって2群に分類した。すなわち、進行型(年5%以上の努力性肺活量減少や年7.5%以上の%DLCO減少がみられる群)と安定型の2つである。KL-6およびSP-Dの測定、肺機能検査は並行して実施され、線形混合効果モデルを用いて解析された。

結果:
 安定型62人、進行型13人が比較された。これらの患者のうち、50人がIPAFの診断基準を満たした。ベースラインの血清KL-6とSP-Dは2群で有意差はなかった。これらのいずれもが%DLCOと逆相関していたが、努力性肺活量とは関連していなかった。これらのバイオマーカーは疾患進行とは関連していなかった。KL-6およびSP-Dが遷延して高値を示す場合、非IPAF f-NSIPにおいて進行型と相関がみられた。IPAF f-NSIPでは、いずれのマーカーも安定型と進行型で有意な差はなかった。
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(文献より引用)

結論:
 特発性f-NSIP、特に非IPAF fNSIP治療中の患者では、血清KL-6およびSP-Dの変化は疾患動態の予測に対して有用な情報を与えてくれるかもしれない。





by otowelt | 2019-04-21 00:46 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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