IPFに対する制酸剤は長期アウトカムに影響を与えない?
2019年 05月 31日

Jo HE, et al.
Gastroesophageal reflux and antacid therapy in IPF: analysis from the Australia IPF Registry.
BMC Pulm Med. 2019 May 3;19(1):84.
背景および目的:
GERDはIPFにおいて高い頻度でみられ、病態生理にかかわっているかもしれない。近年のIPFガイドラインでは、IPFの全患者に制酸剤を考慮すべきとされている。しかしながら、制酸剤はIPF患者のアウトカムを改善させず、呼吸器感染症のリスクを増加させるというエビデンスが出てきている。
方法:
制酸剤使用に関するデータ、GERD診断・GERD症状を含む、オーストラリアIPFレジストリからの前向きデータを用いて、生存および疾患の進行に関するGERDの因子を評価した。
結果:
オーストラリアIPFレジストリにおける684人のうち587人(86%)が組み入れられた。69%の患者が男性で、中等症(%努力性肺活量81.7±21.5%、%DLco48.5±16.4%)の患者の平均年齢は71.0±8.5歳だった。65%(384人)の患者は制酸剤を内服していたが、GERDの診断を受けた患者は243人(41.4%)で、GERD症状がある患者はさらに少なかった(171人、29.1%)。平均FSSGスコアは8.39±7.45で、8点を超えるスコアを有していたのは43%(251人)だった。総じて、制酸剤使用の有無、GERD診断、GERD症状にかかわらず、生存あるいは疾患増悪には有意差はなかった。
結論:
制酸剤の使用やGERD症状の存在は、いずれもIPF患者の長期アウトカムに影響を与えなかった。制酸剤療法はIPF患者には有益ではない可能性があり、GERD治療はあくまで逆流症状を治療するために個別に考慮されるべきであろう。
by otowelt
| 2019-05-31 00:48
| びまん性肺疾患